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簿記

【簿記】分記法と三分法の違いをわかりやすく解説【例題で比較】

2020年9月26日

商品売買の記帳方法は三分法以外にも分記法、総記法、売上原価対立法などの方法があります。
今回は「分記法」と「三分法」の違いと仕訳の方法について説明します。

三分法

三分法とは、商品の売買取引について「仕入」「売上」「繰越商品」の3つの勘定科目を用いて処理する方法です。
三分法は「三分割法」と呼ばれることもあります。

ココがポイント

・商品を仕入れたときに原価で仕入勘定の借方に記入する。
・販売したときに売価で売上勘定の貸方に記入する。
・決算整理で売れ残り商品の原価を繰越商品勘定へ振り替える。

 

仕訳パターン

・仕入時
商品2,000円を掛で仕入れた。

借方 金額 貸方 金額
仕入 2,000 買掛金 2,000

 

・売上時
商品2,100円(原価1,400)を掛で販売した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 売上 2,100

 

・仕入値引
掛で仕入れた商品のうち300円の値引きを受けた。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 仕入 300

 

・仕入割戻し
掛で仕入れた商品のうち150円の割戻しを受けた。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 150 仕入 150

 

・仕入返品
掛で仕入れた商品のうち200円を返品した。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 仕入 200

 

・売上値引
掛で売り上げた商品のうち120円の値引きをした。

借方 金額 貸方 金額
売上 120 売掛金 120

 

・売上割戻し
掛で売り上げた商品のうち50円の割戻しをした。

借方 金額 貸方 金額
売上 50 売掛金 50

 

・売上返品
掛で売り上げ商品のうち450円(原価300円)の返品を受けた。

借方 金額 貸方 金額
売上 450 売掛金 450

 

・決算整理
期首商品棚卸高600円、期末商品棚卸高850円である。

借方 金額 貸方 金額
仕入 600 繰越商品 600
繰越商品 850 仕入 850

 

分記法

分記法とは、商品の売買取引について「商品」「商品販売益」の2つの勘定科目を用いて処理する方法です。

ココがポイント

・商品を仕入れたときに原価で商品勘定の借方に記入する。
・販売したときに原価で商品勘定の貸方に記入するとともに、利益を商品販売益勘定の貸方に記入する。
・当期の商品販売益、期末商品有高の両方が正しい金額となっているため、決算整理は不要。

 

仕訳パターン

・仕入時
商品2,000円を掛で仕入れた。

借方 金額 貸方 金額
商品 2,000 買掛金 2,000

 

・売上時
商品2,100円(原価1,400)を掛で販売した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 商品 1,400
商品販売益 700

 

・仕入値引
掛で仕入れた商品のうち300円の値引きを受けた。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 商品 300

 

・仕入割戻し
掛で仕入れた商品のうち150円の割戻しを受けた。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 150 仕入 150

 

・仕入返品
掛で仕入れた商品のうち200円を返品した。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 商品 200

 

・売上値引
掛で売り上げ商品のうち120円の値引きをした。

借方 金額 貸方 金額
商品販売益 120 売掛金 120

 

・売上割戻し
掛で売り上げた商品のうち50円の割戻しをした。

借方 金額 貸方 金額
商品販売益 50 売掛金 50

 

・売上返品
掛で売り上げ商品のうち450円(原価300円)の返品を受けた。

借方 金額 貸方 金額
商品 300 売掛金 450
商品販売益 150

 

・決算整理
期首商品棚卸高600円、期末商品棚卸高850円である。

仕訳不要

 

分記法と三分法の違い

分記法 三分法
使用する勘定科目 ・商品(資産)
・商品販売益(収益)
・仕入(費用)
・売上(収益)
・繰越商品(資産)
決算整理仕訳 不要 必要

 

 

例題:分記法と三分法の比較

①仕入時

商品2,000円を掛で仕入れた。

分記法 三分法
借方 金額 貸方 金額
商品 2,000 買掛金 2,000
借方 金額 貸方 金額
仕入 2,000 買掛金 2,000

 

②売上時

商品2,100円(原価1,400)を掛で販売した。

分記法 三分法
借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 商品 1,400
商品販売益 700
借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 売上 2,100

 

③仕入値引
掛で仕入れた商品のうち300円の値引きを受けた。

分記法 三分法
借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 商品 300
借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 仕入 300

 

④仕入割戻し
掛で仕入れた商品のうち150円の割戻しを受けた。

分記法 三分法
借方 金額 貸方 金額
買掛金 150 商品 150
借方 金額 貸方 金額
買掛金 150 仕入 150

 

⑤仕入返品
掛で仕入れた商品のうち200円を返品した。

分記法 三分法
借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 商品 200
借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 仕入 200

 

⑥売上値引
掛で売り上げ商品のうち120円の値引きをした。

分記法 三分法
借方 金額 貸方 金額
商品販売益 120 売掛金 120
借方 金額 貸方 金額
売上 120 売掛金 120

 

⑦売上割戻し
掛で売り上げた商品のうち50円の割戻しをした。

分記法 三分法
借方 金額 貸方 金額
商品販売益 50 売掛金 50
借方 金額 貸方 金額
売上 50 売掛金 50

 

⑧売上返品
掛で売り上げ商品のうち450円(原価300円)の返品を受けた。

分記法 三分法
借方 金額 貸方 金額
商品 300 売掛金 450
商品販売益 150
借方 金額 貸方 金額
売上 450 売掛金 450

 

⑨決算整理前残高試算表(前T/B)

期首商品棚卸高600円、期末商品棚卸高850円である。

分記法 三分法
借方:商品850円

貸方:商品販売益380円

借方:繰越商品600円、仕入1,350円

貸方:売上1,480円

(注)売掛金、買掛金は省略。

 

⑧決算整理

期首商品棚卸高600円、期末商品棚卸高850円である。

分記法 三分法
仕訳不要
借方 金額 貸方 金額
仕入 600 繰越商品 600
繰越商品 850 仕入 850

 

⑨決算整理後残高試算(後T/B)

分記法 三分法
借方:商品850円

貸方:商品販売益380円

借方:繰越商品850円、仕入1,100円

貸方:売上1,480円

(注)売掛金、買掛金は省略。

分記法、三分法のどちらで計算しても利益は同じとなります。

分記法:商品販売益380円(利益)

三分法:売上1,480円-仕入1,100円=380円(利益)

 

まとめ

  • 分記法は「商品」「商品販売益」の2つの勘定を使用し、決算整理仕訳は不要。
  • 三分法は「仕入」「売上」「繰越商品」の3つの勘定を使用し、決算整理仕訳が必要。
  • 分記法、三分法のどちらで計算しても利益は同額となる。

日商簿記検定では、2021年度出題区分表の改定内容により分記法は出題されなくなりましたが、税理士試験などでは出題される可能性があります。

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