連結会計 段階取得

簿記

【簿記】連結会計の段階取得の仕訳・会計処理をわかりやすく解説

2021年6月18日

段階取得による支配の獲得とは、他の会社の株式を複数回の取引によって取得することにより、他の会社の支配を獲得することをいいます。

この記事では、連結会計の段階取得について解説します。

投資と資本の相殺消去

親会社の投資と子会社の資本の相殺消去は、支配獲得日の時価で行います。
したがって、個別上の取得原価を連結上の取得原価(支配獲得日の時価)に修正するための仕訳が必要になります。

個別上の取得原価=複数の取引の合計額
連結上の取得原価=支配獲得日の時価

 

段階取得に係る差損益の会計処理

個別上の取得原価を支配獲得日の時価に修正した際に発生した差額は、「段階取得に係る差損益」として処理します。段階取得に係る差損益は連結損益計算書の特別損益に計上されます。
つまり、差益だった場合は「段階取得に係る差益」として「特別利益」に計上し、差損だった場合は「段階取得に係る差損」として「特別損失」に計上します。
なお、連結貸借対照表のみ作成する場合には、利益剰余金に計上します。

 

仕訳パターン

・段階取得に係る差益

借方 金額 貸方 金額
関係会社株式 xxx ※ 段階取得に係る差益 xxx

※ 支配獲得日の時価-個別上の取得原価

 

・段階取得に係る差損

借方 金額 貸方 金額
段階取得に係る差損 xxx 関係会社株式 xxx ※

※ 個別上の取得原価-支配獲得日の時価

 

具体例

次の資料に基づき、x2年3月31日における連結修正仕訳を示しなさい。

<資料1>
P社はx1年3月31日にS社株式100株(発行済み株式数の10%)を45,000円で取得し、その他有価証券とした。さらに、x2年3月31日にS社株式500株(発行済み株式数の50%)を260,000円で取得し、合せて60%となった。
それにより、P社はS社に対する支配を獲得した。評価差額については法定実効税率を30%として税効果会計を適用する。

<資料2>
S社株式の時価
x1年3月31日:450円
x2年3月31日:520円

<資料3>

支配獲得日におけるS社の貸借対照表(単位:円)

借方 金額 貸方 金額
諸資産 600,000 諸負債 200,000
資本金 300,000
資本剰余金 40,000
利益剰余金 60,000
合計 600,000 合計 600,000

(注) x2年3月31日の諸資産の時価は700,000円である。

 

 

【解答・解説】
(1) 子会社の資産・負債の時価評価

借方 金額 貸方 金額
諸資産 100,000 ※1 繰延税金負債 30,000 ※2
評価差額 70,000 ※3

※1 諸資産の時価700,000円-諸資産の簿価600,000円=100,000円
※2 100,000円×30%=30,000円
※3 100,000円-30,000円=70,000円

 

(2) S社株式の時価評価

借方 金額 貸方 金額
S社株式 7,000円 段階取得に係る差益 7,000円

※ @520円×100株-45,000円=7,000円

 

(3) 投資と資本の相殺消去

借方 金額 貸方 金額
資本金 300,000 S社株式 312,000 ※1
資本剰余金 40,000 非支配株主持分 188,000 ※2
利益剰余金 60,000
評価差額 70,000
のれん 30,000 ※3

※1 45,000円+260,000円+7,000円=312,000円
※2 (300,000円+40,000円+60,000円+70,000円)×40%=188,000円
※3 差額

利益剰余金は「段階取得に係る差益」を含まない金額で投資と資本の相殺消去を行います。

 

まとめ

  • 段階取得では、個別上の取得原価を連結上の取得原価(支配獲得日の時価)に修正する。
  • 勘定科目は「段階取得に係る差益」「段階取得に係る差損」
  • 「段階取得に係る差益」は連結損益計算書の特別利益に計上し、「段階取得に係る差損」は特別損失に計上する。

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