簿記

【簿記】九分法(九分割法)と三分法の違いをわかりやすく解説【例題で比較】

2022年11月8日

商品売買の記帳方法は三分法以外にも分記法、総記法、売上原価対立法、九分法などの方法があります。

この記事では「九分法」と「三分法」の違いと仕訳の方法について説明します。

九分法

九分法(九分割法)とは、商品の売買取引について「仕入」「売上」「繰越商品」「仕入値引」「仕入割戻」「仕入戻し」「売上値引」「売上割戻」「売上値戻り」の9つの勘定科目を用いて処理する方法です。

ココがポイント

  • 商品を仕入れたときに原価で「仕入」勘定の借方に記入する。
  • 仕入値引や仕入返品などの仕入控除取引は「仕入値引」「仕入割戻」「仕入戻し」勘定を使って記入する。
  • 販売したときに売価で「売上」勘定の貸方に記入する。
  • 売上値引や売上返品などの売上控除取引は「売上値引」「売上割戻」「売上戻り」勘定を使って記入する。
  • 決算整理で「仕入値引」「仕入割戻」「仕入戻し」勘定の貸方残高を「仕入」勘定に振り替えて純仕入高を算定し、「売上値引」「売上割戻」「売上戻り」勘定の借方残高を「売上」勘定に振り替えて純売上高を算定する。
  • 決算整理で売れ残り商品の原価を「繰越商品」勘定へ振り替える。

仕訳パターン

・仕入時
商品2,000円を掛で仕入れた。

借方 金額 貸方 金額
仕入 2,000 買掛金 2,000

 

・売上時
商品2,100円(原価1,400)を掛で販売した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 売上 2,100

 

・仕入値引、仕入割戻
掛で仕入れた商品のうち300円の値引きを受け、70円の割戻しを受けた。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 370 仕入値引 300
仕入割戻 70

 

・仕入返品
掛で仕入れた商品のうち200円を返品した。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 仕入戻し 200

 

・売上値引
掛で売り上げ商品のうち120円の値引きをし、80円の割戻しをした。

借方 金額 貸方 金額
売上値引 120 売掛金 200
売上割戻 80

 

・売上返品
掛で売り上げ商品のうち450円(原価300円)の返品を受けた。

借方 金額 貸方 金額
売上戻り 450 売掛金 450

 

・決算整理
期首商品棚卸高600円、期末商品棚卸高1,000円である。

借方 金額 貸方 金額
仕入値引 300 仕入 300
仕入割戻 70 仕入 70
仕入戻し 200 仕入 200
売上 120 売上値引 120
売上 80 売上割戻 80
売上 450 売上戻り 450
仕入 600 繰越商品 600
繰越商品 1,000 仕入 1,000

 

三分法

三分法とは、商品の売買取引について「仕入」「売上」「繰越商品」の3つの勘定科目を用いて処理する方法です。

三分法は「三分割法」と呼ばれることもあります。

 

ココがポイント

  • 商品を仕入れたときに原価で仕入勘定の借方に記入する。
  • 販売したときに売価で売上勘定の貸方に記入する。
  • 決算整理で売れ残り商品の原価を繰越商品勘定へ振り替える。

 

仕訳パターン

・仕入時
商品2,000円を掛で仕入れた。

借方 金額 貸方 金額
仕入 2,000 買掛金 2,000

 

・売上時
商品2,100円(原価1,400)を掛で販売した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 売上 2,100

 

・仕入値引、仕入割戻
掛で仕入れた商品のうち300円の値引きを受け、70円の割戻しを受けた。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 370 ※1 仕入 370

※1 値引300円+割戻70円=370円

 

・仕入返品
掛で仕入れた商品のうち200円を返品した。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 仕入 200

 

・売上値引
掛で売り上げ商品のうち120円の値引きをし、80円の割戻しをした。

借方 金額 貸方 金額
売上 200 ※1 売掛金 200

※1 値引120円+割戻80円=200円

 

・売上返品
掛で売り上げ商品のうち450円(原価300円)の返品を受けた。

借方 金額 貸方 金額
売上 450 売掛金 450

 

・決算整理
期首商品棚卸高600円、期末商品棚卸高1,000円である。

借方 金額 貸方 金額
仕入 600 繰越商品 600
繰越商品 1,000 仕入 1,000

 

九分法と三分法の違い

九分法 三分法
使用する勘定科目 ・仕入(費用)
・仕入値引(費用)
・仕入割戻(費用)
・仕入戻し(費用)
・売上(収益)
・売上値引(収益)
・売上割戻(収益)
・売上戻り(収益)
・繰越商品(資産)
・仕入(費用)
・売上(収益)
・繰越商品(資産)
決算整理仕訳 必要 必要

 

 

例題:九分法と三分法の比較

①仕入時

商品2,000円を掛で仕入れた。

九分法 三分法
借方 金額 貸方 金額
仕入 2,000 買掛金 2,000
借方 金額 貸方 金額
仕入 2,000 買掛金 2,000

 

②売上時

商品2,100円(原価1,400)を掛で販売した。

九分法 三分法
借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 売上 2,100
借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 売上 2,100

 

③仕入値引、仕入割戻
掛で仕入れた商品のうち300円の値引きを受け、70円の割戻しを受けた。

九分法 三分法
借方 金額 貸方 金額
買掛金 370 仕入値引 300
仕入割戻 70
借方 金額 貸方 金額
買掛金 370 仕入 370

 

④仕入返品
掛で仕入れた商品のうち200円を返品した。

九分法 三分法
借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 仕入戻し 200
借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 仕入 200

 

⑤売上値引
掛で売り上げ商品のうち120円の値引きをし、80円の割戻しをした。

九分法 三分法
借方 金額 貸方 金額
売上値引割戻 120 売掛金 120
借方 金額 貸方 金額
売上 120 売掛金 120

 

⑥売上返品
掛で売り上げ商品のうち450円(原価300円)の返品を受けた。

九分法 三分法
借方 金額 貸方 金額
売上戻り 450 売掛金 450
借方 金額 貸方 金額
売上 450 売掛金 450

 

⑦決算整理前残高試算表(前T/B)

期首商品棚卸高600円、期末商品棚卸高1,000円である。

九分法 三分法
借方:繰越商品600円、仕入2,000円、売上値引120円、売上割戻80円、売上戻り450円

貸方:売上2,100円、仕入値引300円、仕入割戻70円、仕入戻し200円

借方:繰越商品600円、仕入1,430円

貸方:売上1,450円

(注)売掛金、買掛金は省略。

九分法の場合、決算整理前の仕入勘定の金額は総仕入高を示し、売上勘定の金額は総売上高を示します。

 

⑧決算整理

期首商品棚卸高600円、期末商品棚卸高1,000円である。

九分法 三分法
借方 金額 貸方 金額
仕入値引 300 仕入 300
仕入割戻 70 仕入 70
仕入戻し 200 仕入 200
売上 120 売上値引 120
売上 80 売上割戻 80
売上 450 売上戻り 450
仕入 600 繰越商品 600
繰越商品 1,000 仕入 1,000
借方 金額 貸方 金額
仕入 600 繰越商品 600
繰越商品 1,000 仕入 1,000

 

⑨決算整理後残高試算(後T/B)

九分法 三分法
借方:繰越商品1,000円、仕入1,030円

貸方:売上1,450円

借方:繰越商品1,000円、仕入1,030円

貸方:売上1,450円

(注)売掛金、買掛金は省略。

九分法、三分法のどちらで計算しても利益は同じとなります。

九分法:売上1,450円-仕入1,030円=420円(利益)

三分法:売上1,450円-仕入1,030円=420円(利益)

 

まとめ

  • 九分法は「仕入」「売上」「繰越商品」「仕入値引」「仕入割戻」「仕入戻し」「売上値引」「売上割戻」「売上値戻り」の9つの勘定を使用し、決算整理仕訳が必要。
  • 三分法は「仕入」「売上」「繰越商品」の3つの勘定を使用し、決算整理仕訳が必要。
  • 九分法、三分法のどちらで計算しても利益は同額となる。

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