当座借越契約とは、借越限度額までは当座預金の残高を超えても小切手を振り出すことができる契約です。
当座借越の会計処理には、一勘定制と二勘定制の2つの方法があります。
目次
一勘定制と二勘定制の違い
一勘定制と二勘定制の違いは使用する勘定科目です。
① 一勘定制とは、当座勘定のみを使用する方法です。
一つの勘定で当座預金と当座借越のどちらも処理する点がポイントです。
当座勘定が借方残高のときは資産としての性格があり、貸方残高のときは負債としての性格があります。
② 二勘定制とは、当座預金勘定と当座借越勘定の2つの勘定を使用する方法です。
当座預金の残高がプラス(借方残高)のときは当座預金勘定(資産)で処理をし、当座預金の残高がマイナス(貸方残高)のときは当座借越勘定(負債)で処理する方法です。
具体例:一勘定制と二勘定制の比較
① 3月10日、当座預金口座を開設し、現金300,000円を預入れた。
② 3月15日、買掛金400,000円を小切手を振り出して支払った。なお、当社は借越限度額1,000,000円の当座借越契約を締結している。
③ 3月31日、決算を迎えた。当座借越残高は100,000円であったため、短期借入金に振り替えた。
④ 4月5日、商品200,000円を売上げ、代金は当座預金口座に振り込まれた。
【解答・解説】
(単位:円)
一勘定制 | 二勘定制 | |||||||||||
①
3月10日 |
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②
3月15日 |
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③
3月31日 |
前T/B 貸方:当座 100,000 後T/B 貸方:当座 100,000 B/S 流動負債:短期借入金 100,000 |
前T/B 貸方:当座借越 100,000 後T/B 貸方:当座借越 100,000 B/S 流動負債:短期借入金 100,000 |
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④
4月5日 |
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一勘定制では当座勘定のみを使用するので、マイナスの残高になっても当座借越勘定を使用しないのがポイントです。
貸借対照表(B/S)の表示科目は、一勘定制でも二勘定制でも短期借入金で表示します。簿記検定では、問題文の指示に従って勘定科目を使用してください。
決算整理仕訳と翌期首の仕訳
決算時に当座預金が貸方残高だった場合は、当座借越または借入金に振り替えて、翌期首に再振替仕訳を行う方法もあります。
<決算時>
決算時に当座預金の残高を確認したところ、3,000円の貸方残高だったため、当座借越に振り替えた。
・一勘定制の場合
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
当座 | 3,000 | 当座借越 ※1 | 3,000 |
※1 借入金勘定、短期借入金勘定を使用することもあります。
・二勘定制の場合
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
当座預金 | 3,000 | 当座借越 ※1 | 3,000 |
※1 借入金勘定、短期借入金勘定を使用することもあります。
<翌期首>
当座借越3,000円について再振替仕訳を行った。
・一勘定制の場合
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
当座借越 ※1 | 3,000 | 当座 | 3,000 |
※1 決算時に使用した勘定科目
・二勘定制の場合
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
当座借越 ※1 | 3,000 | 当座預金 | 3,000 |
※1 決算時に使用した勘定科目
まとめ
- 一勘定制は当座勘定のみを使用する方法
- 二勘定制は当座預金勘定と当座借越勘定の2つの勘定を使用する方法
- 当座残高がマイナスになった場合、貸借対照表の表示科目は一勘定制でも二勘定制でも短期借入金で表示する。