簿記

【収益認識・契約変更】独立した契約と新しい契約を締結したものと仮定した場合の仕訳

2022年11月12日

顧客に一定数の同じ製品を販売する契約を締結し、一部の製品を販売した後に、契約を変更して同じ製品を追加で販売することに同意した場合などは、契約変更の内容に応じて「独立した契約として処理する方法」「既存の契約を解約して新しい契約を締結したものと仮定して処理する方法」などがあります。

この記事では、契約変更が行われた場合における「独立した契約として処理する方法」と「既存の契約を解約して新しい契約を締結したものと仮定して処理する方法」の仕訳について解説します。

 

契約変更とは

契約変更とは、収益認識会計基準で下記のように定義されています。

契約変更は、契約の当事者が承認した契約の範囲又は価格(あるいはその両方)の変更であり、契約の当事者が、契約の当事者の強制力のある権利及び義務を新たに生じさせる変更又は既存の強制力のある権利及び義務を変化させる変更を承認した場合に生じるものである。

収益認識会計基準28項

独立した契約として処理する方法

具体例

下記の資料に基づいて、追加販売分を独立した契約として処理した場合の仕訳の方法を答えなさい。

 

1. 契約締結時
6月1日、当社はA社に商品100個を500,000円(1個当たり5,000円)で販売する契約を締結した。

仕訳不要

 

2. 当初の契約に基づいた販売と追加販売の契約締結
6月10日、当社は6月1日にA社と契約した100個(1個当たり5,000円)のうち60個を掛で販売し、追加で10個を1個当たり4,900円で販売する契約を締結した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 300,000 ※1 売上 300,000

※1 @5,000円×60個=300,000円

 

3. 追加販売の契約締結後(当初の契約に基づいた販売分)
6月20日、当社は6月1日にA社と契約した100個(1個当たり5,000円)のうち、残り40個を掛で販売した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 200,000 ※1 売上 200,000

※1 @5,000円×40個=200,000円

 

4. 契約変更後の追加販売分
6月30日、当社は6月10日にA社と追加で契約した10個(1個当たり4,900円)を掛で販売した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 49,000 ※1 売上 49,000

※1 @4,900円×10個=49,000円

 

既存の契約を解約して新しい契約を締結したものと仮定して処理する方法

具体例

下記の資料に基づいて、追加販売分を既存の契約を解約して新しい契約を締結したものと仮定して処理した場合の仕訳の方法を答えなさい。

 

1.契約締結時
6月1日、当社はA社に商品100個を500,000円(1個当たり5,000円)で販売する契約を締結した。

仕訳不要

 

2.当初の契約に基づいた販売と追加販売の契約締結
6月10日、当社は6月1日にA社と契約した100個(1個当たり5,000円)のうち60個を掛で販売した。その後、商品の販売促進の観点から両社は契約内容を変更し、未販売の商品40個については販売価格を1個当たり5,000円のままとし、追加の商品10個については1個当たり4,900円で販売する契約を締結した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 300,000 ※1 売上 300,000

※1 @5,000円×60個=300,000円

契約変更前に、当初の契約に基づいた商品を販売しているため、販売価格は@5,000円で計算します。

 

3.追加販売の契約締結後(当初の契約に基づいた販売分)
6月20日、当社は6月1日にA社と契約した100個(1個当たり5,000円)のうち、残り40個を掛で販売した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 199,200 ※1 売上 199,200

※1 (@5,000円×40個+@4,900円×10個)÷(40個+10個)=4,980円
4,980円×40個=199,200円

既存の契約を解約して新しい契約を締結したものと仮定して処理する方法では、「既存の契約の未販売分」と「新しい契約の追加分」の平均単価を算出して販売価格とします。
移動平均法のイメージです。

 

4.契約変更後の追加販売分
6月30日、当社は6月10日にA社と追加で契約した10個(1個当たり4,900円)を掛で販売した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 49,800 ※1 売上 49,800

※1 @4,980円×10個=49,800円

資料に「1個当たり4,900円」とあっても、平均単価4,980円を使う点に注意してください。

 

まとめ

  • 独立した契約として処理する方法では、契約に基づいた販売価格で売上を算出する。
  • 既存の契約を解約して新しい契約を締結したものと仮定して処理する方法では、「既存の契約の未販売分」と「新しい契約の追加分」の平均単価を算出して販売価格とする。

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