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簿記

【簿記】未払法人税等の仕訳と会計処理について解説。過大計上になった場合は?

2021年11月27日

法人税の確定申告は、決算日の翌日以降に行われるため、法人税などを納付する場合は「未払法人税等」の計上をする必要があります。

この記事では、未払法人税等について解説します。

 

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未払法人税等とは

未払法人税等とは、決算日における税金の未払い額を表す勘定科目のことをいいます。

法人税の確定申告の期限は、決算日の翌日から2ヶ月以内と定められており、決算日と確定申告とで期間のズレが生じます。

貸借対照表(決算書)には、決算日時点の財政状態を適切に表示しなければなりません。

そのため、決算によって確定年税額を明らかにし、中間納付税額などを差し引いた後に未払いの税金がある場合は、その金額を適切に表示する必要があります。

このときに使用する勘定科目が「未払法人税等」です。

 

貸借対照表の計上区分

「未払法人税等」は、将来支払う義務を負う債務であるため、負債に分類されます。

未払法人税等は、計上される決算時から2カ月以内に納付する義務があります。そのため、ワン・イヤー・ルールに基づいて、貸借対照表の流動負債に計上されます。

 

未払法人税等の具体例

未払法人税等に含まれる税金は、法人税、法人事業税、法人住民税などです。

 

法人税

法人税は、法人の所得に対して課税される税金です。国に納付する国税に分類され、所得に一定の法人税率を乗じて納税額を算出します。

納付期限は法人税の確定申告時期と同じで、決算日の翌日(課税事業年度終了の翌日)から2ヶ月以内です。
予定納税(中間申告)をした場合には、当期の法人税額から予定納税額を差し引いた金額を未払法人税等に計上し、納付期限までに納付します。

 

法人事業

法人事業税は、事業を営んでいる法人のうち、都道府県に事務所や事業所を有する法人に課される税金で、地方自治体に納める地方税に該当します。

法人事業税は、法人の課税所得に一定の税率を乗じて算出します。
法人税の予定納税義務がある法人は、法人事業税についても予定納税を行う義務があります。

原則として、法人事業税は収益を得るすべての法人が対象となりますが、公共法人などは対象とはなりません。

公益法人や人格のない社団は、収益事業のみ課税対象となります。このような法人を「収益金額課税法人」といいます。

 

法人住民税

法人住民税とは、都道府県や市区町村が、その地域に事務所や事業所を有する法人に対して課す税金のことで、地方税に分類されます。法人住民税には、都道府県民税と市町村民税が含まれます。

法人住民税は、法人税に一定の税率を乗じて算出する「法人税割」と、法人の資本金および従業員数に基づいて算出する「均等割」の2つの基準で納税額が決定します。

なお、事業年度が赤字で終了した場合は、法人税が発生しないので、法人税割を支払う必要はありません。

ただし、均等割は法人の規模に応じて課税されるため、赤字の事業年度でも納税する必要があります。

事業年度が6ヶ月を超え、法人税の予定納税額が10万円を超える法人は、法人住民税の予定納付義務があります。

事業年度が赤字で終了した場合、予定納付していた法人税割は均等割と相殺することができます。

 

仕訳と計算方法

決算日の財政状態を適切に表示する必要があるため、決算日時点の情報をもとに未払法人税等の計上を行います。

未払法人税等を算出するためには、「法人税」や「法人事業税の確定年税額となる法人税等の額」が必要となります。

法人税等の金額が判明したら「仮払法人税等」に計上されている中間納付額などを差し引き、残額を「未払法人税等」に計上します。

 

<仕訳例>

当期の確定年税額は500,000円であった。なお、決算日までに中間納付した額200,000円が仮払法人税等に計上されている。

借方 金額 貸方 金額
法人税等 500,000 仮払法人税等 200,000
未払法人税 300,000

 

未払法人税等がマイナスになった場合

未払法人税等はマイナスになることがあります。

マイナスになるケースは、当期の所得が前年より少なく、予定納税額が確定年税額よりも大きかった場合などです。

未払法人税等がマイナスになった場合、確定申告時に法人税等を上回った予定納税額が還付されるため、超過した予定納税額を「未収金」として処理します。

 

<仕訳例>

当期の確定年税額は300,000円であった。なお、決算日までに中間納付した額400,000円が仮払法人税等に計上されている。

借方 金額 貸方 金額
法人税等 300,000 仮払法人税等 400,000
未収金 100,000

 

未払法人税等の過大計上

未払法人税等は、必ずしも法人税額の確定額に基づいて計算されるとは限りません。

上場企業の経理では、実際の納税額よりも多くの未払法人税等を計上する「タックス・クッション」という記帳テクニックが用いられることがあります。

タックス・クッションのメリットは、効率的な会計処理に役立つことです。

企業は複雑な会計規則が適用されるため、法人税を計上するためには多くの時間と労力を要します。

大企業の場合、決算後に監査や連結決算などの複雑な会計処理が待っているため、決算から納期限までの間に正確な納税額を算出できない可能性があります。

そのため、納税額よりも過大な未払法人税等を計上しておくことで、複雑な会計処理が完了していなくても、法人税等の納税額が不足するという事態を回避することができます。

未払法人税等の過大計上は、株主の業績判断を誤らせない範囲の金額にしなければなりません。

中小企業は決算から納期限までの間に税額を計算することができるため、タックス・クッションを設定しないことがほとんどです。

 

まとめ

  • 未払法人税等とは、決算日における法人税等の未払い額のことをいう。
  • 未払法人税等に該当する税金は、法人税、法人事業税、法人住民税など。
  • 未払法人税等の過大計上とは、納税額よりも過大な未払法人税等を計上しておくことで、複雑な会計処理が完了していなくても、法人税等の納税額が不足するという事態を回避するために行われる。

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