簿記

【簿記】ゴルフ会員権の取得、減損処理、貸倒引当金の設定、税効果会計について解説

2022年9月3日

ゴルフ会員権とは、会員制のゴルフ場の施設を利用する権利のことをいいます。
この記事では、ゴルフ会員権の取得、減損処理、貸倒引当金の設定、税効果会計について解説します。

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預託金方式と税抜方式の違い

ゴルフ会員権は、入会金、預託保証金、株式などの要素で構成されており、預託金方式と税抜方式に大別されます。

構成要素

預託保証金方式 入会金その他+運営会社に対する預託保証金(債権)
税抜方式 入会金その他+運営会社の発行する株式

 

会計処理

ゴルフ会員権は、原則として取得価額を貸借対照表価額とします。
なお、時価が著しく下落した場合や預託保証金の回収可能性に疑義が生じた場合は減損処理を行います。

 

取得時

<例>

ゴルフ会員権50,000円を現金で取得した。

借方 金額 貸方 金額
ゴルフ会員権 50,000 現金 50,000

 

減損時

減損が生じた場合、ゴルフ会員権に時価があるかどうかで処理が変わります。

 

時価がある場合

預託金方式

<例>

10,000円で取得したゴルフ会員権の期末時における時価は3,000円であった。なお、当該ゴルフ会員権には預託保証金4,000円が含まれている。

借方 金額 貸方 金額
ゴルフ会員権評価損 6,000 ※1 ゴルフ会員権 6,000
貸倒引当金繰入額 1,000 ※2 貸倒引当金 1,000

※1 取得原価10,000円-預託保証金4,000円=6,000円

※2 預託保証金4,000円-時価3,000円=1,000円

時価の下落が預託保証金を超える部分を評価損として計上し、預託保証金に対応する部分については貸倒引当金を設定します。

 

税抜方式

<例>

10,000円で取得したゴルフ会員権の期末時における時価は3,000円であった。

借方 金額 貸方 金額
ゴルフ会員権評価損 7,000 ゴルフ会員権 7,000

取得価額10,000円-時価3,000円=7,000円

取得価額を時価まで直接減額し、評価損を計上します。貸倒引当金は設定しません。

 

 

 

時価がない場合

<例>

10,000円で取得したゴルフ会員権の当期末の時価は不明だが、預託保証金の回収可能性に疑義があるため、貸倒引当金500円を設定することにした。

 

借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金繰入額 500 貸倒引当金 500

預託保証金の回収可能性に疑義がある場合には、貸倒引当金を設定します。時価がないので評価損は計上しません。

 

税効果会計

<例>

ゴルフ会員権評価損6,000円及び貸倒引当金1,000円について税効果会計(税率30%)を適用する。

 

借方 金額 貸方 金額
繰延税金資産 2,100 法人税等調整額 2,100

(6,000円+1,000円)×30%=2,100円

税効果会計の適用の指示がある場合には、ゴルフ会員権に係る評価損の計上及び貸倒引当金について、法定実効税率を乗じた金額を繰延税金資産に計上します。

 

勘定科目と表示区分

 

勘定科目 表示区分
ゴルフ会員権 貸借対照表 投資その他の資産
ゴルフ会員権評価損 損益計算書 特別損失
貸倒引当金繰入額 損益計算書 特別損失
繰延税金資産 貸借対照表 投資その他の資産
法人税等調整額 損益計算書 販売費及び一般管理費

 

具体例

例題1:取得時

ゴルフ会員権50,000円を現金で取得した。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
ゴルフ会員権 50,000 現金 50,000

 

例題2:預託金方式、時価あり

当期末においてゴルフ会員権50,000円の時価が20,000円となった。なお、当該ゴルフ会員権には預託保証金23,000円が含まれている。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
ゴルフ会員権評価損 27,000 ※1 ゴルフ会員権 27,000
貸倒引当金繰入額 3,000 ※2 貸倒引当金 3,000

※1 取得原価50,000円-預託保証金23,000円=27,000円

※2 預託保証金23,000円-時価20,000円=3,000円

 

例題3:税抜方式、時価あり

当期末においてゴルフ会員権50,000円の時価が20,000円となった。なお、当該ゴルフ会員権には預託保証金は含まれていないが、運営会社の株式部分が含まれている。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
ゴルフ会員権評価損 30,000 ゴルフ会員権 30,000

取得価額50,000円-時価20,000円=30,000円

 

例題4:時価なし

当期末においてゴルフ会員権50,000円の時価は不明だが、預託保証金の回収可能性に疑義があるため、貸倒引当金1,000円を設定することにした。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金繰入額 1,000 貸倒引当金 1,000

 

例題5:税効果会計

当期末においてゴルフ会員権50,000円の時価が20,000円となった。なお、当該ゴルフ会員権には預託保証金23,000円が含まれている。時価が著しく下落し、回復の可能性がないため、特別損失を計上し、ゴルフ会員権に係る評価損の計上及び貸倒引当金について税効果会計(税率30%)を適用する。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
ゴルフ会員権評価損 27,000 ※1 ゴルフ会員権 27,000
貸倒引当金繰入額 3,000 ※2 貸倒引当金 3,000
繰延税金資産 9,000 ※3 法人税等調整額 9,000

 

※1 取得原価50,000円-預託保証金23,000円=27,000円
※2 預託保証金23,000円-時価20,000円=3,000円
※3 (27,000円+3,000円)×30%=9,000円

 

まとめ

  • ゴルフ会員権は、預託金方式と税抜方式に大別される。
  • ゴルフ会員権は、原則として取得原価を貸借対照表価額とする。
  • 時価が著しく下落した場合や預託保証金の回収可能性に疑義が生じた場合は減損処理を行う。
  • 時価の下落が預託保証金を超える部分を評価損として計上し、預託保証金に対応する部分については貸倒引当金を設定する。
  • 取得原価-預託保証金=ゴルフ会員権評価損
  • 預託保証金-時価=貸倒引当金繰入額

税効果会計の適用があるゴルフ会員権の減損処理は、第71回(2021年)税理士試験の簿記論で出題されています。
簿記論での出題頻度は多くないですが、財務諸表論では頻出なので出来るようにしておくと安心です。

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