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【簿記】売上割引・仕入割引の仕訳と消費税の取り扱いについて解説

2022年5月21日

割引とは、掛代金が支払期日前に早期決済された場合、掛代金に含まれる利息相当額を免除することをいいます。
割引は利息としての性格を有することから、返品、値引、割戻のように売上高・仕入高から直接控除することはせず、「売上割引」「仕入割引」勘定で営業外損益に計上します。

勘定科目と損益計算書の表示区分

勘定科目 損益計算書の表示区分
売上割引 営業外費用
仕入割引 営業外収益
なぜ、売上割引が営業外費用で、仕入割引が営業外収益になるのですか?
売上割引は、早期に代金を回収できたことによる金融上の費用と考えられるため、営業外費用に該当します。
仕入割引は、早期に代金を支払ったことによる金融上の収益と考えられるため、営業外収益に該当します。

 

売上割引の基本仕訳

① 売上時
5月1日に、A社はB社に商品11,000円を売り上げ、代金は掛とした。なお、支払期日は5月30日だが、5月10日までに支払えば2%の割引をするという契約である。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 11,000 売上 11,000

 

② 割引時
5月9日に、A社は上記①の売掛金についてB社から現金で支払いを受け、2%の割引を行った。

借方 金額 貸方 金額
現金 10,780 ※2 売掛金 11,000
売上割引 220 ※1

※1 11,000円×2%=220円
※2 11,000円-220円=10,780円

 

仕入割引の基本仕訳

① 仕入時
5月1日に、B社はA社から商品11,000円を購入し代金は掛とした。なお、支払期日は5月30日だが、5月10日までに支払えば2%の割引をするという契約である。

借方 金額 貸方 金額
現金 11,000 買掛金 11,000

 

② 割引時
5月9日に、B社は上記①の買掛金についてA社に現金で支払い、2%の割引を受けた。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 11,000 現金 10,780 ※2
仕入割引 220 ※1

※1 11,000円×2%=220円
※2 11,000円-220円=10,780円

 

消費税の取り扱い

消費税等がある場合には、「税抜経理方式」と「税込経理方式」で会計処理が異なります。

税抜経理方式

① 売上時
5月1日に、A社はB社に商品11,000円(消費税等1,000円を含む)を売り上げ、代金は掛とした。なお、支払期日は5月30日だが、5月10日までに支払えば2%の割引をするという契約である。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 11,000 売上 10,000
仮受消費税等 1,000

 

② 割引時
5月9日に、A社は上記①の売掛金についてB社から現金で支払いを受け、2%の割引を行った。

借方 金額 貸方 金額
現金預金 10,780 ※3 売掛金 11,000
売上割引 200 ※2
仮受消費税等 20 ※1

※1 11,000円×2%=220円 220円×10÷110=20円
※2 220円-20円=200円
※3 11,000円-220円=10,780円

 

③仕入時
5月1日に、B社はA社から商品11,000円を購入し代金は掛とした。なお、支払期日は5月30日だが、5月10日までに支払えば2%の割引をするという契約である。

借方 金額 貸方 金額
仕入 10,000 現金 11,000
仮払消費税等 1,000

 

④割引時
5月9日に、B社は上記③の買掛金についてA社に現金で支払い、2%の割引を受けた。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 11,000 現金 10,780 ※3
仕入割引 200 ※2
仮払消費税等 20 ※1

※1 11,000円×2%=220円 220円×10÷110=20円
※2 220円-20円=200円
※3 11,000円-220円=10,780円

 

税込経理方式

①売上時
5月1日に、A社はB社に商品11,000円(消費税等1,000円を含む)を売り上げ、代金は掛とした。なお、支払期日は5月30日だが、5月10日までに支払えば2%の割引をするという契約である。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 11,000 売上 11,000

 

②割引時
5月9日に、A社は上記①の売掛金についてB社から現金で支払いを受け、2%の割引を行った。

借方 金額 貸方 金額
現金 10,780 ※2 売掛金 11,000
売上割引 220 ※1

※1 11,000円×2%=220円
※2 11,000円-220円=10,780円

 

③仕入時
5月1日に、B社はA社から商品11,000円を購入し代金は掛とした。なお、支払期日は5月30日だが、5月10日までに支払えば2%の割引をするという契約である。

借方 金額 貸方 金額
仕入 11,000 買掛金 11,000

 

④割引時
5月9日に、B社は上記③の買掛金についてA社に現金で支払い、2%の割引を受けた。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 11,000 現金 10,780 ※2
仕入割引 220 ※1

※1 11,000円×2%=220円
※2 11,000円-220円=10,780円

 

具体例

例題1

次の各取引についてA社の仕訳を示しなさい。なお、A社は税抜経理方式を採用している。

1. A社はB社から商品55,000円(消費税等5,000円を含む)を掛で販売した。
2. 売掛金55,000円につき早期決済を受けたため2%の割引を行い、残額は現金で受け取った。

 

【解答・解説】
1.

借方 金額 貸方 金額
売掛金 55,000 売上 50,000 ※1
仮受消費税等 5,000

※1 55,000円-5,000円=50,000円

 

2.

借方 金額 貸方 金額
現金 53,900 ※3 売掛金 55,000
売上割引 1,000 ※2
仮受消費税等 100 ※1

※1 55,000円×2%=1,100円 1,100円×10÷110=100円
※2 1,100円-100円=1,000円
※3 55,000円-1,100円=53,900円

 

例題2

次の各取引についてC社の仕訳を示しなさい。なお、C社は税抜経理方式を採用している。

1. C社はD社から軽減税率の対象である商品108,000円(消費税等8,000円を含む)を掛で購入した。
2. 買掛金108,000円につき早期決済を行ったため1%の割引を受け、残額は現金で支払った。

 

【解答・解説】

1.

借方 金額 貸方 金額
仕入 100,000 ※1 買掛金 108,000 ※1
仮払消費税等 8,000

※1 108,000円-8,000円=100,000円

 

2.

借方 金額 貸方 金額
買掛金 108,000 現金 106,920 ※3
仕入割引 1,000 ※2
仮払消費税等 80 ※1

※1 108,000円×1%=1,080円 1,080円×8÷108=80円
軽減税率は8%なので、「10÷110」ではなく「8÷108」を乗じます。

※2 1,080円-80円=1,000円
※3 108,000円-1,080円=106,920円

 

まとめ

  • 「返品、値引、割戻」は売上高・仕入高から直接控除するが、「割引」は直接控除しない。
  • 売上割引は営業外費用、仕入割引は営業外収益に該当する。
  • 消費税等を考慮する場合には、「税抜経理方式」と「税込経理方式」で会計処理が異なる。

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