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【収益認識・変動対価】最頻値法と期待値法の見積もり方法をわかりやすく解説【簿記】

2023年3月19日

変動対価とは、顧客と約束した対価のうち変動する可能性のある部分のことをいいます。

変動対価が含まれる取引

値引き、リベート、返金、インセンティブ、業績に基づく割増金、ペナルティー等の形態により対価の額が変動する場合や、返品権付きの販売など(適用指針第23項)。

この記事では、変動対価による最頻値法と期待値法の見積もり方法について解説します。



 

変動対価の見積り

変動対価の額の見積もりは、最頻値法と期待値法のいずれかのうち、企業が権利を得ることとなる対価の額をより適切に予測できる方法を用います。
最頻値法と期待値法のどちらを採用するかは企業が任意で選択できるものではなく、企業が権利を得ることとなる対価の額をより適切に予測できる方法を選択する必要があります。また、契約全体を通じて単一の方法を首尾一貫して適用します。

 

最頻値法

最頻値法とは、発生し得る対価の額のうち最も可能性の高い単一の金額(最頻値)により、変動対価の額を見積もる方法のことをいいます。

設例

下記の資料に基づいて、最頻値を採用した場合の取引価格の金額を答えなさい。

<資料>

販売価格 発生確率
10,000円 40%
11,000円 50%
12,000円 10%

 

【解答・解説】
11,000円

発生確率が最も高い50%を選択します。したがって、取引価格は11,000円となります。

 

期待値法

期待値法とは、発生し得る対価の額を確率で加重平均した金額(期待値)により、変動対価の額を見積もる方法のことをいいます。

設例

下記の資料に基づいて、最頻値を採用した場合の取引価格の金額を答えなさい。

<資料>

販売価格 発生確率
10,000円 40%
11,000円 50%
12,000円 10%

 

【解答・解説】
10,700円

期待値法では加重平均した金額が取引価格となります。
10,000円×40%+11,000円×50%+12,000円×10%=10,700円

 

具体例

次の資料に基づいて、①最頻値を採用した場合の変動対価(取引価格)、②最頻値を採用した場合の変動対価(取引価格)を答えなさい。
A社はx2年4月1日に製品1個当たり10,000円で販売する契約をB社と締結した。B社がx2年度中に購入する数量に応じて、リベートがA社から支払われる。なお、リベート率は全仕入れ分に適用されるものと仮定する。
また、A社はx3年6月末に終了する第1四半期において、対象の製品を1,000個販売したものとする。

<資料>

販売個数 (a)リベート率 (b)発生確率  (a)×(b)
10,000個以上 10% 5% 0.5%
6,000個~9,999個 5% 25% 1.25%
3,000個~5,999個 3% 40% 1.2%
0個~2,999個 0% 30%  0%
合計(加重平均値) 2.95%

 

【解答・解説】

見積方法 計算結果
① 最頻値法による変動対価 最も発生確率が高い販売個数におけるリベート率3%(発生確率40%)を使用します。

1,000個×10,000円×(1-3%)=9,700,000円

∴ 9,700,000円

② 期待値法による変動対価 発生し得る対価の額を発生確率で加重平均するので、加重平均値2.95%を使用します。

1,000個×10,000円×(1-2.95%)=9,705,000円

∴ 9,705,000円

まとめ

  • 変動対価の額の見積り方法は、最頻値法と期待値法がある。
  • 最頻値法とは、対価の額を最も可能性の高い単一の金額による方法。
  • 期待値法とは、対価の額を確率で加重平均した金額による方法。
  • 最頻値法と期待値法のどちらを採用するかは企業が任意で選択できるものではなく、企業が権利を得ることとなる対価の額をより適切に予測できる方法を選択しなければならない。
  • 契約全体を通じて単一の方法を首尾一貫して適用する。

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