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【簿記】総合償却の平均耐用年数、一部除却・売却の仕訳をわかりやすく解説

2020年6月21日

総合償却は税理士試験や公認会計士試験、日商簿記1級などで出題されます。減価償却の計算方法は、個別償却のほかに総合償却があります。

この記事では、総合償却について解説します。

 

総合償却

総合償却とは、複数の固定資産を1つの償却単位として一括して減価償却を行う方法です。実務上、総合償却は用いられていません。

耐用年数の異なる資産を総合償却するためには、平均耐用年数を算出する必要があります。その後、各資産の要償却額の合計額を平均耐用年数で割って、減価償却費を算出します。

なお、個別償却とは、個々の固定資産ごとに減価償却を行う方法です。簿記検定などでは、指示がない場合、個別償却で計算します。

 

平均耐用年数

平均耐用年数は次の方法により算定します。

平均耐用年数=個々の固定資産の要償却額の合計額÷個々の固定資産の定額法による1年あたりの減価償却費の合計額

計算の結果、1年未満の端数が生じた場合には、その端数を切り捨てます。平均耐用年数が2年に満たない場合には、2年で計算します。

総合償却資産の使用可能期間は、総合償却資産に属する個々の資産の償却基礎価額の合計額を個々の資産の年要償却額(償却基礎価額を個々の資産の使用可能期間で除した額をいう。)の合計額で除して得た年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には、2年とする。)とする。(平23年課法2-17「三」により改正) 引用:国税庁

 

減価償却時

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 xxx ※1 減価償却累計額 xxx

※1 各資産の要償却額の合計額÷平均耐用年数

 

一部除却時

総合償却の場合、個々の固定資産の未償却残高は不明です。
平均耐用年数が到来する前に除却された固定資産は、取得原価から残存価額を差し引いた要償却額を減価償却累計額で取り崩し、残存価額は貯蔵品で処理します。したがって、除却損益は生じません。

借方 金額 貸方 金額
減価償却累計額 xxx ※1 固定資産 xxx ※2
貯蔵品 xxx ※3

※1 取得原価-残存価額
※2 取得原価
※3 差額(残存価額)

 

一部売却時

平均耐用年数が到来する前に一部の固定資産を売却した場合には、取得原価から残存価額を差し引いた要償却額を減価償却累計額で取り崩し、残存価額と売却価額との差額を売却損益で処理します。

借方 金額 貸方 金額
減価償却累計額 xxx ※1 固定資産 xxx ※2
現金 xxx ※3
固定資産売却損 xxx ※4

※1 取得原価-残存価額
※2 取得原価
※3 売却価額
※4 残存価額-売却価額

 

除却(売却)後の減価償却

総合償却の方法で平均耐用年数の到来前に除却や売却した場合、個別償却の方法よりも除却(売却)した資産の減価償却累計額を多く取り崩します。
その結果、個別償却の方法よりも、残りの資産の減価償却累計額が小さくなるため、差引の未償却残高は大きくなります。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 xxx ※1 減価償却累計額 xxx

※1 (要償却額の合計額-除却資産の要償却額)÷平均耐用年数=減価償却費
要償却額の合計額から除却資産の要償却額を控除した額を平均耐用年数で割って減価償却費を算出します。

 

具体例

x1年4月1日に下記の機械を取得し、総合償却を適用することにした。次の資料に基づいて(1)から(4)の問に答えなさい。なお、当社の会計期間は4月1日~翌年3月31日である。

【資料】

取得原価 耐用年数 残存価額
機械A 5,000,000 5年 取得原価の1割
機械B 8,000,000 8年 取得原価の1割
機械C 6,000,000 3年 取得原価の1割
機械D 2,000,000 4年 ゼロ
機械E 7,000,000 7年 ゼロ

 

(1)機械A~機械Eの平均耐用年数を求めなさい。

(2)x2年3月31日に総合償却した際の仕訳を示しなさい。

(3)x3年3月31日に機械Cを除却した時の仕訳と総合償却した際の仕訳を示しなさい。

(4)x4年3月31日に総合償却した際の仕訳を示しなさい。

 

【解答・解説】

(1) 5年

① 個々の固定資産の要償却額の合計額
5,000,000×0.9+8,000,000×0.9+6,000,000×0.9+2,000,000+7,000,000=26,100,000

② 個々の固定資産の定額法による1年あたりの減価償却費の合計額
A機械 5,000,000×0.9÷5年=900,000
B機械 8,000,000×0.9÷8年=900,000
C機械 6,000,000×0.9÷3年=1,800,000
D機械 2,000,000÷4年=500,000
E機械 7,000,000÷7年=1,000,000

900,000+900,000+500,000+2,000,000+1,000,000=5,100,000

26,100,000÷5,100,000=5.1176…→5年

 

(2)

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 5,220,000 ※1 減価償却累計額 5,220,000

※1 要償却額の合計26,100,000÷5年=5,220,000

 

(3)

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 5,220,000 ※1 減価償却累計額 5,220,000
減価償却累計額 5,400,000 ※2 機械C 6,000,000 ※3
貯蔵品 600,000 ※4

※1 要償却額の合計26,100,000÷5年=5,220,000
※2 機械Cの取得原価6,000,000-残存価額600,000=5,400,000
※3 機械Cの取得原価
※4 差額(残存価額)

除却した機械Cの要償却額(取得原価6,000,000-残存価額600,000)の全額を取り崩すのがポイントです。

 

(4)

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 4,140,000 ※1 減価償却累計額 4,140,000

※1 (要償却額の合計額26,100,000-除却資産の要償却額5,400,000)÷5年=4,140,000

残った資産の要償却額の合計額を平均耐用年数で割って、減価償却費を算出します。

 

まとめ

  • 平均耐用年数=個々の固定資産の要償却額の合計額÷個々の固定資産の定額法による1年あたりの減価償却費の合計額
  • 総合償却の場合、個々の固定資産の未償却残高は不明。除却損は発生しない。
  • 平均耐用年数が到来する前に除却された資産は、取得原価から残存価額を差し引いた要償却額を減価償却累計額で取り崩し、差額は貯蔵品で処理する。

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