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簿記

【簿記】総記法と三分法の違い【例題で比較】

2021年9月6日

商品売買の記帳方法は三分法以外にも分記法、総記法、売上原価対立法などの方法があります。
今回は「総記法」と「三分法」の違いと仕訳の方法について説明します。

 

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三分法

三分法とは、商品の売買取引について「仕入」「売上」「繰越商品」の3つの勘定科目を用いて処理する方法です。
三分法は「三分割法」と呼ばれることもあります。

ココがポイント

  • 商品を仕入れたときに原価で仕入勘定の借方に記入する。
  • 販売したときに売価で売上勘定の貸方に記入する。
  • 決算整理で売れ残り商品の原価を繰越商品勘定へ振り替える。

 

仕訳パターン

・仕入時
商品2,000円を掛で仕入れた。

借方 金額 貸方 金額
仕入 2,000 買掛金 2,000

 

・売上時
商品2,100円(原価1,400)を掛で販売した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 売上 2,100

 

・仕入値引
掛で仕入れた商品のうち300円の値引きを受けた。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 仕入 300

 

・仕入返品
掛で仕入れた商品のうち200円を返品した。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 仕入 200

 

・売上値引
掛で売り上げ商品のうち120円の値引きをした。

借方 金額 貸方 金額
売上 120 売掛金 120

 

・売上返品
掛で売り上げ商品のうち450円(原価300円)の返品を受けた。

借方 金額 貸方 金額
売上 450 売掛金 450

 

・決算整理
期首商品棚卸高600円、期末商品棚卸高1,000円である。

借方 金額 貸方 金額
仕入 600 繰越商品 600
繰越商品 1,000 仕入 1,000

 

総記法

総記法とは、商品の売買取引について「商品」「商品販売益」の2つの勘定科目を用いて処理する方法です。
期中は「商品」勘定のみで処理し、決算整理で「商品販売益」を算定します。

ココがポイント

  • 商品を仕入れたときに原価で商品勘定の借方に記入する。
  • 販売したときに売価で商品勘定の貸方に記入する。
  • 決算整理前残高試算表(前T/B)の商品勘定は、借方残高・貸方残高のどちらの場合もある。
  • 商品販売益を算定し、商品勘定を期末商品棚卸高の金額に修正するための決算整理仕訳が必要。

 

仕訳パターン

・仕入時
商品2,000円を掛で仕入れた。

借方 金額 貸方 金額
商品 2,000 買掛金 2,000

 

・売上時
商品2,100円(原価1,400)を掛で販売した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 商品 2,100

 

・仕入値引
掛で仕入れた商品のうち300円の値引きを受けた。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 商品 300

 

・仕入返品
掛で仕入れた商品のうち200円を返品した。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 商品 200

 

・売上値引
掛で売り上げ商品のうち120円の値引きをした。

借方 金額 貸方 金額
商品 120 売掛金 120

 

・売上返品
掛で売り上げ商品のうち450円(原価300円)の返品を受けた。

借方 金額 貸方 金額
商品 450 売掛金 450

 

・決算整理
期首商品棚卸高600円、期末商品棚卸高1,000円である。

借方 金額 貸方 金額
商品 430 ※1 商品販売益 430

※1 期末商品棚卸高1,000円-前T/B570円(期首商品棚卸高600円+仕入2,000円-売上2,100円-仕入値引300円-仕入返品200円+売上値引120円+売上返品450円)=430円

 

総記法と三分法の違い

総記法 三分法
使用する勘定科目 ・商品(資産)
・商品販売益(収益)
・仕入(費用)
・売上(収益)
・繰越商品(資産)
決算整理仕訳 必要 必要

 

 

例題:総記法と三分法の比較

①仕入時

商品2,000円を掛で仕入れた。

総記法 三分法
借方 金額 貸方 金額
商品 2,000 買掛金 2,000
借方 金額 貸方 金額
仕入 2,000 買掛金 2,000

 

②売上時

商品2,100円(原価1,400)を掛で販売した。

総記法 三分法
借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 商品 2,100
借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 売上 2,100

 

③仕入値引
掛で仕入れた商品のうち300円の値引きを受けた。

総記法 三分法
借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 商品 300
借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 仕入 300

 

④仕入返品
掛で仕入れた商品のうち200円を返品した。

総記法 三分法
借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 商品 200
借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 仕入 200

 

⑤売上値引
掛で売り上げ商品のうち120円の値引きをした。

総記法 三分法
借方 金額 貸方 金額
商品 120 売掛金 120
借方 金額 貸方 金額
売上 120 売掛金 120

 

⑥売上返品
掛で売り上げ商品のうち450円(原価300円)の返品を受けた。

総記法 三分法
借方 金額 貸方 金額
商品 450 売掛金 450
借方 金額 貸方 金額
売上 450 売掛金 450

 

⑦決算整理前残高試算表(前T/B)

期首商品棚卸高600円、期末商品棚卸高1,000円である。

総記法 三分法
貸方:商品570円 ※1 借方:繰越商品600円、仕入1,500円

貸方:売上1,530円

※1 期首商品棚卸高600円+仕入2,000円-売上2,100円-仕入値引300円-仕入返品200円+売上値引120円+売上返品450円=570円

(注)売掛金、買掛金は省略。

 

⑧決算整理

期首商品棚卸高600円、期末商品棚卸高1,000円である。

総記法 三分法
借方 金額 貸方 金額
商品 430 商品販売益 430 ※1
借方 金額 貸方 金額
仕入 600 繰越商品 600
繰越商品 1,000 仕入 1,000

※1 期末商品棚卸高1,000円-前T/B商品570円=430円

 

⑨決算整理後残高試算(後T/B)

総記法 三分法
借方:商品1,000円

貸方:商品販売益430円

借方:繰越商品1,000円、仕入1,100円

貸方:売上1,530円

(注)売掛金、買掛金は省略。

総記法、三分法のどちらで計算しても利益は同じとなります。

総記法:商品販売益430円(利益)

三分法:売上1,530円-仕入1,100円=430円(利益)

 

まとめ

総記法

  • 「商品」「商品販売益」の2つの勘定を使用する。
  • 商品を仕入れたときに原価で商品勘定の借方に記入し、販売したときに売価で商品勘定の貸方に記入する。
  • 前T/Bの商品勘定は、借方残高・貸方残高のどちらの場合もある。
  • 決算整理仕訳が必要。

三分法

  • 「仕入」「売上」「繰越商品」の3つの勘定を使用する。
  • 決算整理仕訳が必要。

 

総記法、三分法のどちらで計算しても利益は同額となる。

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