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【簿記】売上原価対立法と三分法の違いをわかりやすく解説【例題で比較】

2022年10月11日

商品売買の記帳方法は三分法以外にも分記法、総記法、二分法、売上原価対立法などの方法があります。

この記事では「売上原価対立法」と「三分法」の違いと仕訳の方法について説明します。

 

売上原価対立法

売上原価対立法とは、商品の売買取引について「売上原価」「売上」「商品」の3つの勘定科目を用いて処理する方法です。

 

ココがポイント

  • 商品を仕入れたときに原価で商品勘定の借方に記入する。
  • 売上の都度、売上原価を算定する。具体的には、売上時に売価で売上勘定の貸方に記入するとともに、販売した商品の原価を売上原価勘定の借方に記入し、同額を商品勘定の貸方に記入する。
  • 売上原価、売上高、期末商品有高が正しい金額となっているため、決算整理は不要。

仕訳パターン

・仕入時
商品2,000円(売価3,000円)を掛で仕入れた。

借方 金額 貸方 金額
商品 2,000 買掛金 2,000

 

・売上時
商品2,100円(原価1,400)を掛で販売した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 売上 2,100 ※1
売上原価 1,400 ※2 商品 1,400

※1 売価
※2 原価

 

・仕入値引
掛で仕入れた商品のうち300円(売価450円)の値引きを受けた。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 商品 300

 

・仕入返品
掛で仕入れた商品のうち200円(売価300円)を返品した。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 商品 200

 

・売上値引
掛で売り上げ商品のうち150円(原価100円)の値引きをした。

借方 金額 貸方 金額
売上 150 売掛金 150

 

・売上返品
掛で売り上げ商品のうち450円(原価300円)の返品を受けた。

借方 金額 貸方 金額
売上 450 売掛金 450
商品 300 売上原価 300

 

・決算整理
期首商品棚卸高600円(売価900円)、期末商品棚卸高1,000円(売価1,500円)である。

仕訳不要

 

三分法

三分法とは、商品の売買取引について「仕入」「売上」「繰越商品」の3つの勘定科目を用いて処理する方法です。

三分法は「三分割法」と呼ばれることもあります。

ココがポイント

  • 商品を仕入れたときに、原価で仕入勘定の借方に記入する。
  • 商品を売り上げたときに、売価で売上勘定の貸方に記入する。
  • 決算整理で売れ残り商品の原価を繰越商品勘定へ振り替える。

 

仕訳パターン

・仕入時
商品2,000円(売価3,000円)を掛で仕入れた。

借方 金額 貸方 金額
仕入 2,000 買掛金 2,000

 

・売上時
商品2,100円(原価1,400)を掛で販売した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 売上 2,100

 

・仕入値引
掛で仕入れた商品のうち300円(売価450円)の値引きを受けた。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 仕入 300

 

・仕入返品
掛で仕入れた商品のうち200円(売価350円)を返品した。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 仕入 200

 

・売上値引
掛で売り上げ商品のうち150円(原価100円)の値引きをした。

借方 金額 貸方 金額
売上 150 売掛金 150

 

・売上返品
掛で売り上げ商品のうち450円(原価300円)の返品を受けた。

借方 金額 貸方 金額
売上 450 売掛金 450

 

・決算整理
期首商品棚卸高600円(売価900円)、期末商品棚卸高1,000円(売価1,500円)である。

借方 金額 貸方 金額
仕入 600 繰越商品 600
繰越商品 1,000 仕入 1,000

 

売上原価対立法と三分法の違い

売上原価対立法 三分法
使用する勘定科目 ・売上原価(費用)
・売上(収益)
・商品(資産)
・仕入(費用)
・売上(収益)
・繰越商品(資産)
決算整理仕訳 不要 必要

 

 

例題:売上原価対立法と三分法の比較

①仕入時

商品2,000円(売価3,000円)を掛で仕入れた。

売上原価対立法 三分法
借方 金額 貸方 金額
商品 2,000 買掛金 2,000
借方 金額 貸方 金額
仕入 2,000 買掛金 2,000

 

②売上時

商品2,100円(原価1,400)を掛で販売した。

売上原価対立法 三分法
借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 売上 2,100
売上原価 1,400 商品 1,400
借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 売上 2,100

 

③仕入値引
掛で仕入れた商品のうち300円(450円)の値引きを受けた。

売上原価対立法 三分法
借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 商品 300
借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 仕入 300

 

④仕入返品
掛で仕入れた商品のうち200円(売価300円)を返品した。

売上原価対立法 三分法
借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 商品 200
借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 仕入 200

 

⑤売上値引
掛で売り上げ商品のうち150円の値引きをした。

売上原価対立法 三分法
借方 金額 貸方 金額
売上 150 売掛金 150
借方 金額 貸方 金額
売上 150 売掛金 150

 

⑥売上返品
掛で売り上げ商品のうち450円(原価300円)の返品を受けた。

売上原価対立法 三分法
借方 金額 貸方 金額
売上 450 売掛金 450
商品 300 売上原価 300
借方 金額 貸方 金額
売上 450 売掛金 450

 

⑦決算整理前残高試算表(前T/B)

期首商品棚卸高600円(売価900円)、期末商品棚卸高1,000円(売価1,500円)である。

売上原価対立法 三分法
借方:商品1,000円、売上原価1,100円

貸方:売上1,500円

借方:繰越商品600円、仕入1,500円

貸方:売上1,500円

(注)売掛金、買掛金は省略。

 

⑧決算整理

期首商品棚卸高600円(売価900円)、期末商品棚卸高1,000円(売価1,500円)である。

売上原価対立法 三分法
仕訳不要
借方 金額 貸方 金額
仕入 600 繰越商品 600
繰越商品 1,000 仕入 1,000

 

⑨決算整理後残高試算(後T/B)

売上原価対立法 三分法
借方:商品1,000円、売上原価1,100円

貸方:売上1,500円

借方:繰越商品1,000円、仕入1,100円

貸方:売上1,500円

(注)売掛金、買掛金は省略。

売上原価対立法、三分法のどちらで計算しても利益は同じとなります。

売上原価対立法:売上1,500円-売上原価1,100円=400円(利益)

三分法:売上1,500円-仕入1,100円=400円(利益)

 

まとめ

  • 売上原価対立法は「売上原価」「売上」「商品」の3つの勘定を使用し、決算整理仕訳は不要。
  • 三分法は「仕入」「売上」「繰越商品」の3つの勘定を使用し、決算整理仕訳が必要。
  • 売上原価対立法、三分法のどちらで計算しても利益は同額となる。

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