リコース義務と金銭債権の譲渡

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リコース義務と金銭債権の譲渡に関する仕訳・勘定科目について解説

2021年7月11日

リコース義務とは、債権が回収不能になった場合に、債権を譲渡した人が債権を購入した人に対して支払い責任を負う義務のこといいます。
手形割引の際の保証債務と同じようなイメージです。

なお、金銭債権とは現金預金、売掛金、受取手形、貸付金などのことをいいます。

この記事では、リコース義務と金銭債権の譲渡について解説します。

用語の意義

譲渡する金銭債権 売掛金、受取手形、貸付金など(簿価で計上)
新たな金融資産 買戻権など(時価で計上)
新たな金融負債 リコース義務など(時価で計上)
残存部分(資産) 回収サービス業務資産など(簿価で計上)
債権売却益・債権売却損 譲渡金額と譲渡現価の差額

 

金銭債権の譲渡とリコース義務の会計処理

譲渡した金銭債権を、譲渡部分と回収サービス業務資産の部分とに分けて計算するのがポイントです。

 

譲渡金額(時価)の算定

売却価額から新たに発生した資産・負債を加減します。

売却価額+新たな金融資産時価新たな金融負債時価=譲渡金額(時価)

この場合、「譲渡金額=譲渡部分の時価」という関係が成立します。

 

譲渡した金銭債権(帳簿価額)の按分方法

譲渡した金銭債権の帳簿価額を、時価の割合で譲渡部分と残存部分の資産(回収サービス業務資産など)に分けて計算します。

➀譲渡原価の算定
金銭債権の帳簿価額×譲渡金額の時価÷(譲渡金額の時価+残存部分の資産の時価)
=譲渡原価

➁残存部分の資産の算定
金銭債権の帳簿価額×残存部分の資産の時価÷(譲渡金額の時価+残存部分の資産の時価)
=残存部分の資産(帳簿価額)

 

債権売却益・債権売却損の算定

譲渡金額から譲渡原価を控除した金額が債権売却益・債権売却損になります。
譲渡金額-譲渡原価=債権売却益または債権売却損

債権権売却益は、貸付金売却益や長期貸付金売却益などの勘定科目を使用することもあります。

 

貸借対照表の表示区分

勘定科目(表示科目) 表示区分
リコース義務 流動負債

 

 

仕訳パターン

借方 金額 貸方 金額
未収金 ※1 xxx リコース義務 ※1 xxx
買戻権 ※1 xxx 金銭債権 ※2 xxx
回収サービス業務資産 ※4 xxx 債権売却益 ※3 xxx

※1 時価
※2 帳簿価額
※3
➀譲渡金額=金銭債権時価買戻権時価リコース義務時価
➁譲渡した金銭債権の帳簿価額×回収サービス業務資産の時価÷(譲渡金額時価回収サービス業務資産の時価残存部分の時価=譲渡原価
➂譲渡金額-譲渡原価=債権売却益

※4 譲渡した金銭債権の帳簿価額×回収サービス業務資産の時価÷(譲渡金額時価回収サービス業務資産の時価残存部分の時価

買戻権とは、譲受人から債権を買い戻す権利のこといい資産に計上されます。

 

具体例

次の資料に基づいて、当社の5月1日における仕訳を示しなさい。

当社は5月1日に帳簿価額10,000円の貸付金をA社に9,000円で売却し、代金は翌月末に受け取ることとした。
当社は買戻権を持つとともに、延滞債権を買い戻すリコース義務を負う。また、譲渡債権の回収代行を行うこととした。

それぞれの時価は次のとおりである。
未収金(現金収入) ※1:9,900円
回収サービス業務資産(残存部分):500円
買戻権 ※1:300円
リコース義務 ※2:100円

※1 新たな資産
※2 新たな負債

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
未収金 9,900 ※1 リコース義務 100 ※1
買戻権 300 ※1 貸付金 10,000 ※2
回収サービス業務資産 472 ※4 債権売却益 ※1 572 ※3

※1 時価

※2 帳簿価額

※3
➀9,900円+300円-100円=10,100円(譲渡金額=譲渡部分の時価)
➁10,000円×10,100円÷(10,100円+500円)=9,528円(譲渡原価)
➂10,100円-9,528円=572円

※4 10,000円×500円÷(10,100円+500円)=472円(残存部分の帳簿価額)

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