簿記

【簿記】小売棚卸法と三分法の違いをわかりやすく解説【例題で比較】

2022年6月28日

商品売買の記帳方法は三分法以外にも分記法、総記法、売上原価対立法、小売棚卸法などの方法があります。

この記事では「三分法」と「小売棚卸法」の違いと仕訳の方法について説明します。

 

小売棚卸法

小売棚卸法とは、商品の売買取引について「商品」「商品販売益」「繰延販売益」の3つの勘定科目を用いて処理する方法です。

 

ココがポイント

  • 商品を仕入れた場合には、商品の仕入原価を売価に換算して「商品」勘定の借方に記入し、支払対価(原価)と売価との差額を「商品販売益」勘定の貸方に記入する。
  • 商品を売り上げた場合には、売価で「商品」勘定の貸方に記入する。
  • 商品の仕入時に、仕入れたすべての商品に対応する「商品販売益」を計上しているため、決算整理が必要となり、期末商品売価に含まれる販売益を「商品販売益」勘定から「繰延販売益」勘定に振り替える。

仕訳パターン

・仕入時
商品2,000円(売価3,000円)を掛で仕入れた。

借方 金額 貸方 金額
商品 3,000 ※1 買掛金 2,000 ※2
商品販売益 1,000 ※3

※1 売価
※2 原価
※3 差額

 

・売上時
商品2,100円(原価1,400)を掛で販売した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 商品 2,100 ※1

※1 売価

 

・仕入値引
掛で仕入れた商品のうち300円(売価450円)の値引きを受けた。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 商品 450
商品販売益 150

 

・仕入返品
掛で仕入れた商品のうち200円(売価300円)を返品した。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 商品 300
商品販売益 100

 

・売上値引
掛で売り上げ商品のうち150円(原価100円)の値引きをした。

借方 金額 貸方 金額
商品 150 売掛金 150

 

・売上返品
掛で売り上げ商品のうち450円(原価300円)の返品を受けた。

借方 金額 貸方 金額
商品 450 売掛金 450

 

・決算整理
期首商品棚卸高600円(売価900円)、期末商品棚卸高1,000円(売価1,650円)である。

借方 金額 貸方 金額
繰越販売益 300 ※1 商品販売益 300
商品販売益 650 繰越販売益 650

※1 900円-600円=300円
※2 1,650円-1,000円=650円

 

三分法

三分法とは、商品の売買取引について「仕入」「売上」「繰越商品」の3つの勘定科目を用いて処理する方法です。

三分法は「三分割法」と呼ばれることもあります。

ココがポイント

  • 商品を仕入れた場合には、原価で仕入勘定の借方に記入する。
  • 商品を売り上げた場合には、売価で売上勘定の貸方に記入する。
  • 決算整理で売れ残り商品の原価を繰越商品勘定へ振り替える。

 

仕訳パターン

・仕入時
商品2,000円(売価3,000円)を掛で仕入れた。

借方 金額 貸方 金額
仕入 2,000 買掛金 2,000

 

・売上時
商品2,100円(原価1,400)を掛で販売した。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 売上 2,100

 

・仕入値引
掛で仕入れた商品のうち300円(売価450円)の値引きを受けた。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 仕入 300

 

・仕入返品
掛で仕入れた商品のうち200円(売価350円)を返品した。

借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 仕入 200

 

・売上値引
掛で売り上げ商品のうち150円(原価100円)の値引きをした。

借方 金額 貸方 金額
売上 150 売掛金 150

 

・売上返品
掛で売り上げ商品のうち450円(原価300円)の返品を受けた。

借方 金額 貸方 金額
売上 450 売掛金 450

 

・決算整理
期首商品棚卸高600円(売価900円)、期末商品棚卸高1,000円(売価1,650円)である。

借方 金額 貸方 金額
仕入 600 繰越商品 600
繰越商品 1,000 仕入 1,000

 

小売棚卸法と三分法の違い

小売棚卸法 三分法
使用する勘定科目 ・商品(資産)
・商品販売益(収益)
・繰延販売益(負債)
・仕入(費用)
・売上(収益)
・繰越商品(資産)
決算整理仕訳 必要 必要

 

 

例題:小売棚卸法と三分法の比較

①仕入時

商品2,000円(売価3,000円)を掛で仕入れた。

小売棚卸法 三分法
借方 金額 貸方 金額
商品 3,000 買掛金 2,000
商品販売益 1,000
借方 金額 貸方 金額
仕入 2,000 買掛金 2,000

 

②売上時

商品2,100円(原価1,400)を掛で販売した。

小売棚卸法 三分法
借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 商品 2,100
借方 金額 貸方 金額
売掛金 2,100 売上 2,100

 

③仕入値引
掛で仕入れた商品のうち300円(450円)の値引きを受けた。

小売棚卸法 三分法
借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 商品 450
商品販売益 150
借方 金額 貸方 金額
買掛金 300 仕入 300

 

④仕入返品
掛で仕入れた商品のうち200円(売価300円)を返品した。

小売棚卸法 三分法
借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 商品 300
商品販売益 100
借方 金額 貸方 金額
買掛金 200 仕入 200

 

⑤売上値引
掛で売り上げ商品のうち150円の値引きをした。

小売棚卸法 三分法
借方 金額 貸方 金額
商品 150 売掛金 150
借方 金額 貸方 金額
売上 150 売掛金 150

 

⑥売上返品
掛で売り上げ商品のうち450円(原価300円)の返品を受けた。

小売棚卸法 三分法
借方 金額 貸方 金額
商品 450 売掛金 450
借方 金額 貸方 金額
売上 450 売掛金 450

 

⑦決算整理前残高試算表(前T/B)

期首商品棚卸高600円(売価900円)、期末商品棚卸高1,000円(売価1,500円)である。

小売棚卸法 三分法
借方:商品1,650円

貸方:商品販売益750円、繰延販売益300円

借方:繰越商品600円、仕入1,500円

貸方:売上1,500円

(注)売掛金、買掛金は省略。

 

⑧決算整理

期首商品棚卸高600円(売価900円)、期末商品棚卸高1,000円(売価1,650円)である。

小売棚卸法 三分法
借方 金額 貸方 金額
繰延販売益 300 商品販売益 300
商品販売益 650 繰延販売益 650
借方 金額 貸方 金額
仕入 600 繰越商品 600
繰越商品 1,000 仕入 1,000

 

⑨決算整理後残高試算(後T/B)

小売棚卸法 三分法
借方:商品1,650円

貸方:商品販売益400円、繰延販売益650円

借方:繰越商品1,000円、仕入1,100円

貸方:売上1,500円

(注)売掛金、買掛金は省略。

 

⑩貸借対照表(B/S)

小売棚卸法 三分法
借方:商品1,000円

貸方:繰延販売益650円

借方:繰越商品1,000円

(注)売掛金、買掛金は省略。

小売棚卸法は決算整理後残高試算と貸借対照表とで「商品」勘定の金額が異なります。
貸借対照表に表示するときは、商品1,650円(売価)から繰延販売益650円を控除した1,000円(原価)となります。

 

⑪損益計算書(P/L)

小売棚卸法 三分法
貸方:商品販売益400円 借方:仕入1,100円

貸方:売上1,500円

(注)売掛金、買掛金は省略。

小売棚卸法、三分法のどちらで計算しても利益は同じとなります。

小売棚卸法:商品販売益400円(利益)

三分法:売上1,500円-仕入1,100円=400円(利益)

 

まとめ

  • 小売棚卸法は「商品」「商品販売益」「繰延販売益」の3つの勘定を使用し、決算整理仕訳が必要。
  • 三分法は「仕入」「売上」「繰越商品」の3つの勘定を使用し、決算整理仕訳が必要。
  • 小売棚卸法、三分法のどちらで計算しても利益は同額となる。

小売棚卸法は、第68回(2018年)税理士試験の簿記論で出題されました。出題頻度は少ないですが、仕訳自体は簡単なので出来るようにしておくと安心です。

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