旧定率法 計算式

※ 本ページはプロモーションが含まれています。

PR 簿記

【簿記】旧定率法の取得から除却までの償却方法・計算式について解説【耐用年数経過後も償却が終わらない点に注意】

2022年7月6日

定率法の償却率は、平成19年3月31日以前に取得したものは旧定率法が採用されます。
平成19年4月1日以後に取得したものは250%定率法が採用され、平成24年4月1日以後に取得したものは200%定率法が採用されます。

平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産は、取得価額の 95%相当額まで到達した事業年度の翌事業年度(平成 19 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度に限る。)以後において、残存価額が10%など設定していても残存簿価1円まで償却できます。

この記事では、旧定率法について解説します。

旧定率法による減価償却方法とは

旧定率法による償却額は、「耐用年数省令別表第7の旧定率法による償却率表」を使って算定します。

旧定率法の計算式

期首帳簿価額×旧定率法償却率=減価償却費

 

期首帳簿価額=取得原価-期首減価償却累計額

 

取得から除却までの償却方法・計算式

 

耐用年数が到来するまでの旧定率法の計算式

期首帳簿価額×旧定率法償却率=減価償却費

 

 

耐用年数経過後、取得価額の95%相当額に到達するまでの計算式

「期首帳簿価額×償却率」と「期首帳簿価額-取得価額×5%」のいずれか少ない金額が減価償却費

耐用年数経過後も残存簿価1円までは償却できるので、減価償却の処理が終わらない点に注意してください。

 

 

取得価額の95%相当額まで到達した事業年度の翌事業年度以降の計算式

(取得価額の5%-1円)÷5=減価償却費 又は (期首帳簿価額-1円)÷5=減価償却費

取得価額の5%(期首帳簿価額)を5年間で備忘価額1円まで均等償却します。

参考

1円未満の端数の端数処理の方法は「四捨五入」「切り捨て」「切り上げ」の、どの方法を選択して大丈夫ですが、最後(5年目)の減価償却は備忘価額を1円にする必要があるので、「切り上げ」で処理をするのが一般的です。

 

 

均等償却の最終年の計算式

未償却残高(期首帳簿価額)-1円=減価償却費

 

 

未償却残高(備忘価額)1円まで償却した資産を除却したときの仕訳

借方 金額 貸方 金額
固定資産除却損 固定資産

未償却残高(備忘価額)1円を固定資産除却損に含めて処理します。

 

人気ひろゆき氏「無職、職歴なしでも簿記の資格を持っているだけで就職できる」について、日商簿記1級取得者の感想

例題

X1年4月1日に、機械装置5,000,000円を現金で購入した。機械の耐用年数5年、償却率0.369、間接控除法で償却する。(会計期間4月1日から3月31日)

 

【解答・解説】

・ X1年4月1日

借方 金額 貸方 金額
機械装置 5,000,000 現金 5,000,000

 

・ X2年3月31日(1年目)

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 1,845,000 減価償却累計額 1,845,000

5,000,000×0.369=1,845,000

 

・ X3年3月31日(2年目)

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 1,164,195 減価償却累計額 1,164,195

(5,000,000-1,845,000)×0.369=1,164,195

 

・ X4年3月31日(3年目)

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 734,607 減価償却累計額 734,607

1,845,000+1,164,195=3,009,195(減価償却累計額)

(5,000,000-3,009,195)×0.369=734,607

 

・ X5年3月31日(4年目)

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 463,537 減価償却累計額 463,537

3,009,195+734,607=3,743,802(減価償却累計額)

(5,000,000-3,743,802)×0.369=463,537

 

・ X6年3月31日(5年目)

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 292,492 減価償却累計額 292,492

3,743,802+463,537=4,207,339(減価償却累計額)

(5,000,000-4,207,339)×0.369=463,537

 

・ X7年3月31日(6年目、耐用年数経過後1年目の減価償却)

耐用年数経過後の翌年以降は取得価額の95%相当額まで償却します。

計算式

「期首帳簿価額×償却率」と「期首帳簿価額-取得価額×5%」のいずれか少ない金額が減価償却費

 

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 184,562 減価償却累計額 184,562

4,207,339+292,492=4,499,831(減価償却累計額)
取得価額5,000,000-減価償却累計額4,499,831=500,169(期首帳簿価額)

期首帳簿価額500,169×0.369=184,562<期首帳簿価額500,169-取得価額5,000,000×5%=250,169
∴ 184,562

 

・ X8年3月31日(7年目、耐用年数経過後2年目の減価償却)

6年目は取得価額の95%相当額まで償却していないので、7年目も「期首帳簿価額×償却率」と「期首帳簿価額-取得価額×5%」のいずれか少ない金額が償却額になります。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 65,607 減価償却累計額 65,607

4,499,831+184,562=4,684,393(減価償却累計額)
取得価額5,000,000-減価償却累計額4,684,393=315,607(期首帳簿価額)

期首帳簿価額315,607×0.369=116,458>期首帳簿価額315,607-取得価額5,000,000×5%=65,607
∴ 65,607

7年目の減価償却費を加算すると取得価額の95%相当額に到達します。

5,000,000×95%=4,750,000

4,684,393+65,607=4,750,000(減価償却累計額)

 

・ X9年3月31日(8年目、耐用年数経過後3年目の減価償却)

取得価額の95%相当額まで到達した事業年度の翌事業年度以降は、取得価額の5%(期首帳簿価額)を5年間で備忘価額1円まで均等償却します。

計算式

(取得価額の5%-1円)÷5=減価償却費 又は (期首帳簿価額-1円)÷5=減価償却費

 

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 50,000 減価償却累計額 50,000

取得価額×5%=250,000円
又は
取得価額5,000,000円-減価償却累計額4,750,000円=期首帳簿価額250,000円

(250,000-1)÷5=50,000

 

・ X10年3月31日(9年目、耐用年数到来後4年目の減価償却)

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 50,000 減価償却累計額 50,000

(250,000-1)÷5=50,000

均等償却なので、取得価額の5%である250,000円から1円を控除した金額を5で割ります。

 

・ X11年3月31日(10年目、耐用年数経過後5年目の減価償却)

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 50,000 減価償却累計額 50,000

(250,000-1)÷5=50,000

均等償却なので、取得価額の5%である250,000円から1円を控除した金額を5で割ります。

 

・ X12年3月31日(11年目、耐用年数経過後6年目の減価償却)

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 50,000 減価償却累計額 50,000

(250,000-1)÷5=50,000

均等償却なので、取得価額の5%である250,000円から1円を控除した金額を5で割ります。

 

・ X13年3月31日(12年目、耐用年数経過後7年目の減価償却)

均等償却の最終年では備忘価額が1円になるように償却します。

計算式

未償却残高(期首帳簿価額)-1円=減価償却費

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 49,999 減価償却累計額 49,999

取得価額5,000,000-減価償却累計額4,950,000=未償却残高(期首帳簿価額)50,000

50,000-1=49,999

 

・ X14年8月31日(除却時、1円まで償却後)

未償却残高(備忘価額)1円まで償却した資産を除却した場合、その1円を固定資産除却損に含めて処理します。

<例>

除却費用10,000円を現金で支払って、機械装置を処分した。

借方 金額 貸方 金額
減価償却累計額 4,999,999 機械装置 5,000,000
固定資産除却損 10,001 ※1 現金 10,000

※1 除却費用10,000円+未償却残高1円=10,001円

 

参考:直接控除法で処理していた場合

借方 金額 貸方 金額
固定資産除却損 10,001 機械装置 1
現金 10,000

 

取得から除却までの減価償却費のまとめ

上記の例題を表にまとめると下記のようになります。

減価償却費 減価償却累計額 未償却残高
(取得価額-減価償却累計額)
1年目 5,000,000×0.369=1,845,000 1,845,000 3,155,000
2年目 3,155,000×0.369=1,164,195 3,009,195 1,990,805
3年目 1,990,805×0.369=734,607 3,743,802 1,256,198
4年目 1,256,197×0.369=463,537 4,207,339 792,661
5年目 792,660×0.369=292,492 4,499,831 500,168
6年目(耐用年数経過後1年目) 184,562

500,159×0.369=184,562<500,159-5,000,000×5%=250,159

4,684,393 315,607
7年目(耐用年数経過後2年目) 65,607

315,607×0.369=116,458>315,607-5,000,000×5%=65,607

4,750,000 250,000
8年目(耐用年数経過後3年目) (250,000-1)÷5=50,000 4,800,000 200,000
9年目(耐用年数経過後4年目) (250,000-1)÷5=50,000 4,850,000 150,000
10年目(耐用年数経過後5年目) (250,000-1)÷5=50,000 4,900,000 100,000
11年目(耐用年数経過後6年目) (250,000-1)÷5=50,000 4,950,000 50,000
12年目(耐用年数経過後7年目) 50,000-1=49,999 4,999,999
除却時 なし △4,999,999

-PR, 簿記

© 2024 BIT 会計ファイナンス