「未払費用と未払金」「未収収益と未収金」は似たような言葉で混同しがちですが、簿記では明確に区別されて使われています。
「未払費用、未収収益」は経過勘定項目です。一方、「未払金、未収金」は未決済項目です。
これらの違いは下記の通りです。
目次
未払費用と未払金
未払費用とは、一定の契約に従い継続して役務の提供を受ける場合で、すでに提供を受けた役務に対して、いまだ対価の支払いが完了していないものをいいます。
未払金とは、一定の契約に従い継続して役務の提供を受ける場合以外で、本来の営業取引(商品売買)以外の取引によって生じた債務のことをいいます。
未収収益と未収金
未収収益とは、一定の契約に従い継続して役務の提供を行う場合で、すでに提供した役務に対して、いまだ対価の支払いを受け取っていないものをいいます。貸借対照表の流動資産に計上されます。
未収金とは、一定の契約に従い継続して役務の提供を行う場合以外で、本来の営業取引(商品売買)以外の取引によって生じた債権のことをいいます。未収金は「未収入金」と呼ばれることもあります。
具体例
設例1
次の各時点における仕訳を示しなさい。なお、当期は20x2年1月1日から12月31日である。
①10月1日に 現金1,000,000円を利子率3%、利払日9月30日の条件で借り入れた。
②12月31日、当期分の利息7,500円を見越す決算整理仕訳を行った。
【解答・解説】
①10月1日
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 1,000,000 | 借入金 | 1,000,000 |
②12月31日
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
支払利息 | 7,500 | 未払利息(未払費用) | 7,500 |
当期分の支払利息は、一定の契約に従い継続して役務の提供を行う場合で、すでに提供を受けた役務に対して、いまだ対価の支払いが完了していないものなので、「未払利息(未払費用)」勘定として処理します。
設例2
次の各時点における仕訳を示しなさい。
①5月12日、A社はB社へ機械500,000円を購入し、代金は後日支払うこととした。
②5月25日、B社から5月12日に購入した機械の代金を現金で支払った。
【解答・解説】
①5月12日
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
機械 | 500,000 | 未払金 | 500,000 |
②5月25日
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未払金 | 500,000 | 現金 | 500,000 |
機械の購入は、一定の契約に従い継続して役務の提供を受ける場合以外で、本来の営業取引(商品売買)以外の取引によって生じた債務なので「未払金」勘定で処理します。
設例3
次の各時点における仕訳を示しなさい。なお、当期は20x2年1月1日から12月31日である。
①10月1日に 現金1,000,000円を利子率3%、利払日9月30日の条件で貸し付けを行った。
②12月31日、当期分の利息7,500円を見越す決算整理仕訳を行った。
【解答・解説】
①10月1日
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
貸付金 | 1,000,000 | 現金 | 1,000,000 |
②12月31日
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未収利息(未収収益) | 7,500 | 受取利息 | 7,500 |
当期分の受取利息は、一定の契約に従い継続して役務の提供を行う場合で、すでに提供を受けた役務に対して、いまだ対価の受け取りが完了していないものなので、「未収利息(未収収益)」勘定として処理します。
設例4
次の各時点における仕訳を示しなさい。なお、当期は20x2年1月1日から12月31日である。
①4月10日、A社はB社へ土地9,000,000円を10,000,000円で売却し、代金は後日受け取ることとした。
②7月25日、B社から4月10日に売却した土地の代金10,000,000円が当座預金に入金された。
【解答・解説】
①4月10日
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未収金 | 10,000,000 | 土地 | 9,000,000 |
土地売却益 | 1,000,000 |
②7月25日
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
当座預金 | 10,000,000 | 未収金 | 10,000,000 |
土地の売却は、一定の契約に従い継続して役務の提供を行う場合以外で、本来の営業取引(商品売買)以外の取引によって生じた債権なので、「未収金」勘定で処理します。
まとめ
未払費用・未収収益(経過勘定項目)は「一定の契約に従い継続して行う役務の提供に該当する取引」がポイントです。
未払金・未収金(未決済項目)は「一定の契約に従い継続して行う役務の提供に該当しない取引」がポイントです。