前払費用と前払金

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「前払費用と前払金」「前受収益と前受金」の違いをわかりやすく解説

2020年2月12日

「前払費用と前渡金」、「前受収益と前受金」は似たような言葉で混同しがちですが、簿記では明確に区別されて使われています。

「前払費用、前受収益」は経過勘定項目です。一方、「前渡金、前受金」は未決済項目です。
これらの違いは下記の通りです。

 

前払費用と前渡金

前払費用とは、一定の契約に従い継続して役務の提供を受ける場合で、まだ提供されていない役務に対して支払われた対価のことをいいます。

前渡金(まえわたしきん)とは、一定の契約に従い継続して役務の提供を受ける場合以外で、商品や原材料などの購入において、仕入先に代金の一部または全部を前払したときに生じる債権のことをいいます。具体的には、手付金や予約金が該当します。前渡金は「前払金」と呼ばれることもあります。

 

前受収益と前受金

前受収益とは、一定の契約に従い継続して役務を提供を行う場合で、まだ提供していない役務に対して支払いを受けた対価のことをいいます。

前受金とは、一定の契約に従い継続して役務を提供を行う場合以外で、商品などの販売において、得意先から代金の一部または全部を前受したときに生じる債務のことをいいます。

 

具体例

設問1

次の各時点における仕訳を示しなさい。なお、当期は20x2年1月1日から12月31日である。

①11月1日に向こう1年分の保険料30,000円を現金で支払った。

②12月31日、来期分の保険料25,000円を繰延べる決算整理仕訳を行った。

 
【解答・解説】
①11月1日

借方 金額 貸方 金額
保険料 30,000 現金 30,000

②12月31日

借方 金額 貸方 金額
前払保険料(前払費用) 25,000 保険料 25,000

来期分の保険料は、一定の契約に従い継続して役務の提供を受ける場合で、まだ提供されていない役務に対して支払われた対価なので、「前払保険料(前払費用)」勘定として処理します。

 

設問2

次の各時点における仕訳を示しなさい。

①5月10日、C社はD社へ商品150,000円を注文し、その内金として現金50,000円を支払った。

②5月15日、D社から5月10日に注文していた商品を受け取り、残りの金額は掛けとした。

 
【解答・解説】
①5月10日

借方 金額 貸方 金額
前渡金 50,000 現金 50,000

②5月15日

借方 金額 貸方 金額
仕入 150,000 前渡金 50,000
買掛金 100,000

商品などを購入するにあたり、代金の一部または全部を仕入先へ前払したときに生ずる債権(商品の引渡請求権)は「前渡金」勘定で処理します。

 

設問3

次の各時点における仕訳を示しなさい。なお、当期は20x2年1月1日から12月31日である。

①12月1日に向こう1年分の利息36,000円を現金で受け取った。

②12月31日、来期分の利息33,000円を繰延べる決算整理仕訳を行った。

 
【解答・解説】
①12月1日

借方 金額 貸方 金額
現金 36,000 受取利息 36,000

②12月31日

借方 金額 貸方 金額
受取利息 33,000 前受利息(前受収益) 33,000

来期分の利息は、一定の契約に従い継続して役務を提供を行う場合で、まだ提供していない役務に対して支払いを受けた対価なので、「前受利息(前受収益)」勘定として処理します。

 

設問4

次の各時点における仕訳を示しなさい。

①5月10日、D社はC社から商品150,000円の注文を受け、その内金として現金50,000円を受け取った。

②5月15日、C社から5月10日に注文を受けていた商品を引き渡し、残りの金額は掛けとした。

 
【解答・解説】
①5月10日

借方 金額 貸方 金額
現金 50,000 前受金 50,000

②5月15日

借方 金額 貸方 金額
前受金 50,000 売上 150,000
売掛金 100,000

商品などを販売するにあたり、代金の一部または全部を得意先から前受したときに生ずる債務(商品の引渡義務)は「前受金」勘定で処理します。

 

まとめ

前払費用・前受収益(経過勘定項目)は「一定の契約に従い継続して行う役務の提供に該当する取引」がポイントです。
前払金・前受金(未決済項目)は「一定の契約に従い継続して行う役務の提供に該当しない取引」がポイントです。

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