簿記

【簿記】市場販売目的のソフトウェアの仕訳と表示区分【資産計上するものは?】

2020年10月25日

市場販売目的のソフトウェアとは、製品マスターを制作し、これを複写したものを不特定多数のユーザーに対して販売する目的で制作したソフトウェアのことをいいます。

この記事では市場販売目的のソフトウェアの仕訳や制作費の分類について解説します。

ソフトウェア制作費の分類

 

期間  費用の種類 勘定科目 表示区分
最初に製品化された製品マスター(プロトタイプ)完成までの開発費用 研究開発費 販売費及び一般管理費
機能の改良・強化に要した費用
(著しいものを除く)
ソフトウェア 無形固定資産
著しい改良に要した費用 研究開発費 販売費及び一般管理費
機能維持に要した費用 営業費 販売費及び一般管理費
製品としてのソフトウェアの制作原価 製品または仕掛品 流動資産

 

資産計上するもの

上記の分類を見てもわかる通り、市場販売目的のソフトウェアの場合は、製品マスター(プロトタイプ)完成後に発生した「機能の改良・強化に要した費用(著しいものを除く)」を無形固定資産に「ソフトウェア」として計上します。

関連自社利用目的のソフトウェアの仕訳と費用の分類

 

仕訳パターン

①最初に製品化された製品マスター(プロトタイプ)完成までの開発費用

借方 金額 貸方 金額
研究開発費 xxx 現金預金 xxx

 

②製品マスター(プロトタイプ)完成後の費用
・機能の改良・強化に要した費用(著しいものを除く)

借方 金額 貸方 金額
ソフトウェア xxx 現金預金 xxx

 

・著しい改良に要した費用

借方 金額 貸方 金額
研究開発費 xxx 現金預金 xxx

 

・機能維持に要した費用

借方 金額 貸方 金額
営業費 xxx 現金預金 xxx

 

③製品としてのソフトウェアの制作原価

借方 金額 貸方 金額
製品(または仕掛品) xxx 現金預金 xxx

 

市場販売目的のソフトウェアの減価償却

市場販売目的のソフトウェアの減価償却額は、以下の(イ)と(ロ)のいずれか大きい額となり、償却額は売上原価に計上します。
なお、最終年度は期首未償却残高を全額償却します。

(イ)見込販売数量(又は見込販売収益)による償却額

 

 

(ロ)見込有効期間(原則3年)による償却額
減価償却額=ソフトウェアの未償却残高÷残存有効期間

 

(ハ) (イ)と(ロ)のいずれか大きい額を計上

 

仕訳パターン

借方 金額 貸方 金額
 売上原価 xxx ソフトウェア xxx

市場販売目的のソフトウェアの減価償却費は「売上原価」に計上します。自社利用目的のソフトウェアとの違いに注意してください。

関連【簿記】研究開発目的のソフトウェアの仕訳と表示区分【資産計上するものは?】

 

見込販売数量または見込販売収益の変更をした場合

販売開始後の見込販売数量・見込販売収益は毎期見直しをする必要があります。
見直しの結果、見込販売数量または見込販売収益の変更が必要になった場合には、変更後の見込販売数量または見込販売収益に基づいて減価償却費を算定します。

x1年度末において見込みを変更した場合は、x2年度から変更後の見込みに基づいて減価償却費を算定します。
x1年度は変更前の見込みに基づいて減価償却費を算定します。

どうしてx1年度は変更前の見込みに基づいて減価償却費を算定するの?
期首の見込みに基づいて算定するからだよ。x1年度は期末に見込みの変更をしたから、変更前の見込みに基づいて算定するんだよ。

見直しの結果、将来の見込販売収益が未償却残高を下回った場合は、その差額を費用または損失として計上する必要があります。

 

具体例

設例1

x1年度に市場販売目的のソフトウェアを制作した。
次の資料に基づいて仕訳を示しなさい。

<資料>
①最初に製品化された製品マスター(プロトタイプ)完成までの開発費用 100,000円
②機能の改良・強化に要した費用 30,000円
③著しい改良に要した費用 20,000円
④機能維持に要した費用 10,000円
⑤製品としてのソフトウェアの制作原価 (100個、単価5,000円)

なお、すべて現金で支払っている。

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
ソフトウェア 30,000 *1 現金 660,000 *5
研究開発費 120,000 *2
営業費 10,000 *3
製品 500,000 *4

*1 機能の改良・強化に要した費用30,000円
*2 最初に製品化された製品マスター(プロトタイプ)完成までの開発費用100,000円+著しい改良に要した費用20,000円=120,000円
*3 機能維持に要した費用10,000円
*4 製品としてのソフトウェアの制作原価100個×単価5,000円=500,000円
*5 合計

 

設例2

次の資料により(1)各年度における見込販売数量に基づく仕訳及び(2)各年度における見込販売収益に基づく仕訳を示しなさい。

<資料>
1.無形固定資産として計上されたソフトウェアの制作費の総額 300,000円
2.当該ソフトウェアの見込有効期間 3年
3.販売開始時における見込販売数量及び総見込販売収益は下記のとおりである。

各年度の見込販売数量 各年度の見込販売単価 各年度の見込販売収益
x1年度 1,200個 350円 420,000円
x2年度 800個 300円 240,000円
x3年度 1,000個 200円 200,000円
合計 3,000個 860,000円

4.販売開始時における見込みどおりに各年度の販売数量、販売収益が計上された。なお、見込有効期間にも変更はなかった。
5.円未満の端数が生ずる場合には、切り捨てるものとする。

 

【解答・解説】

(1)見込販売数量に基づく方法

1.x1年度決算整理

借方 金額 貸方 金額
売上原価 120,000 ソフトウェア 120,000

 

 

 

2.x2年度決算整理

借方 金額 貸方 金額
売上原価 90,000 ソフトウェア 90,000

 

 

 

 

3.x3年度決算整理

借方 金額 貸方 金額
売上原価 90,000 *1 ソフトウェア 90,000

*1 期首未償却残高

 

(2)各年度における見込販売収益に基づく方法

1.x1年度決算整理

借方 金額 貸方 金額
売上原価 146,511 ソフトウェア 146,511

 

 

 

2.x2年度決算整理

借方 金額 貸方 金額
売上原価 83,721 ソフトウェア 83,721

 

 

 

 

3.x3年度決算整理

借方 金額 貸方 金額
売上原価 69,798 *1 ソフトウェア 69,798

*1 期首未償却残高

 

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