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【簿記】役務収益と役務原価の仕訳、損益計算書の表示区分について解説【売上との違いに注意】

2021年9月10日

役務収益と役務原価は、主にサービス業で発生する勘定科目です。
サービス業における収益が役務収益に計上され、売上原価が役務原価に計上されます。

役務収益と役務原価は、日商簿記2級の試験範囲です。

この記事では、役務収益と役務原価の仕訳、会計処理について解説します。



役務収益とは

役務収益とは、役務の提供による収益のことをいいます。

なお、「役務」とは「サービス」のことであり、「役務の提供」と「サービスの提供」は同じ意味です。
具体的には、ホテルや旅館などの宿泊先の提供、弁護士など士業の顧問契約、予備校の講座などが役務の提供に該当します。

 

売上と役務収益の違い

売上と役務収益の違いは、「モノを売る」か「役務の提供」かどうかです。

商品売買業などでは商品を販売したときに「売上」勘定を使用しますが、サービス業などでは役務を提供したときに「売上」勘定ではなく「役務収益」勘定をします。

業種 商品売買業 サービス業
売上時の勘定科目 売上 役務収益

 

仕訳例

役務収益の計上は、一時に履行義務が充足されるケースと継続して履行義務が履行されるケースがあります。

一時に履行義務が充足されるケース

例題1
当社はマッサージ業を営んでおり、顧客にマッサージのサービスを提供し、代金3,000円を現金で受け取った。

借方 金額 貸方 金額
現金 3,000 役務収益 3,000

マッサージは一時的なものであるため、一時に履行義務が充足されるケースに該当します。したがって、全額が役務収益として一時に計上されます。

 

継続して履行義務が履行されるケース

サービスが継続的に提供される場合には、履行義務の充足に係る進捗に合わせて役務収益に計上します。

進捗度の見積もり測る方法は、インプット法とアウトプット法の2つがあります。 インプット法の測定例は、労働時間や発生原価(原価比例法)などがあります。 アウトプット法の測定例は、生産単位数や引渡単位数などがあります。

 

例題2
当社は料理教室を運営している。×1年7月1日に1年分の会費120,000円を現金で受け取った。

借方 金額 貸方 金額
現金 120,000 契約負債 ※1 120,000

※1 役務を提供している企業が、役務提供の前に対価を受け取った場合、「契約負債」勘定で処理しますが、「前受金」勘定で処理することもあります。

 

例題3
×2年3月31日、例題2に関する決算整理仕訳を行った。

借方 金額 貸方 金額
前受金  90,000 役務収益  90,000 ※1

※1 120,000円÷12ヶ月×9ヶ月=90,000円

x1年7月1日からx2年3月31日の9ヵ月分のサービスが当期に提供されたので、契約負債のうち9ヵ月分を当期の収益に計上します。
なお、商品の引き渡しではなくサービスの提供なので、「売上」勘定ではなく「役務収益」勘定で処理します。

 

役務原価とは

役務原価とは、役務の提供をするために要した直接的な費用のことをいいます。
「役務原価」勘定は、商品売買業の「仕入」勘定に相当するものです。

 

仕入と役務原価の違い

仕入と役務原価の違いは、「モノを売るために必要なもの」か「役務の提供に必要なもの」かどうかです。

商品売買業などでは商品を購入したときに「仕入」勘定を使用しますが、サービス業などでは役務の提供に必要なものを購入した場合、「仕入」勘定ではなく「役務原価」勘定をします。

業種 商品売買業 サービス業
仕入れ時の勘定科目 仕入 役務原価

 

仕訳例

例題4
当社は料理教室を運営している。x1年10月1日、料理教室で必要な材料50,000円分を現金で支払った。

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 50,000 現金 50,000

役務の提供をするために要した直接的な費用であっても、モノを購入した時点ではサービスが提供されていないため、「役務原価」勘定ではなく、「仕掛品」勘定で処理します。

なお、消耗品などを購入した場合でも、役務の提供をするために要した直接的な費用であれば、「消耗品」勘定ではなく、「仕掛品」勘定で処理します。

 

例題5
x2年3月31日、決算日を迎えた。例題4の料理教室は現在全体の8割が完了しており、購入した材料も同じ割合を消化している。

借方 金額 貸方 金額
役務原価 40,000 ※1 仕掛品 40,000

※1 50,000円×80%=40,000円

仕掛品と役務原価の違いは、役務収益に対応した費用かどうかです。仕掛品は未提供のサービスにかかわるものであるため、役務収益に対応しません。役務原価は提供したサービスにかかわるものであるため、役務収益に対応した費用になります。

 

勘定科目と損益計算書の表示区分

勘定科目(表示科目) 損益計算書
役務収益 売上高の区分
役務原価 売上原価の区分

役務収益は売上高の一部、役務原価は売上原価の一部です。

 

具体例

問1
当社は資格試験の予備校を運営している。x3年1月25日、来月から開講する税理士試験の講座180,000円を現金で受け取った。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
現金 180,000 契約負債 ※1 180,000

※1 前受金で処理する場合もあります。

 

問2
x3年3月31日、当期末の決算において、問1に関する収益を計上する。なお、決算日時点で全体の20%の講義が終了している。
また、問1に関する原価は仕掛品勘定に計上されており、終了した講義に関する原価は25,000円である。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
契約負債 36,000 ※1 役務収益 36,000
役務原価 25,000 仕掛品 25,000

※1 180,000円×20%=36,000円

 

まとめ

  • 役務収益とは、役務の提供による収益のこといい、損益計算書の売上高の区分に計上される。
  • サービスが継続的に提供される場合には、履行義務の充足に係る進捗に合わせて役務収益に計上する。
  • 役務原価とは、役務の提供をするために要した直接的な費用のことをいい、損益計算書の売上原価の区分に計上される。
  • サービスが継続的に提供される場合には、履行義務の充足に係る進捗に合わせて役務原価に計上する。

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