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【変動対価】消費税等を考慮する場合の売上割戻を見込む販売の仕訳、会計処理

2021年9月15日

売上割戻を見込む販売とは、一定量を販売した場合にリベートを支払う販売形態のことで、変動対価に該当します。

この記事では、消費税等を考慮する場合の売上割戻を見込む販売について解説します。



会計上の取扱い

A社はB社と「1年間の販売数量が200個までは販売単価2,000円(税抜)とし、201個からは販売単価1,800円(税抜)とする。」という契約を締結した。この契約における対価には変動性がある。当社はA社への1年間の販売数量予測は500個になると予想している。なお、消費税率10%とする。

(1)x1年7月5日、A社はB社に商品200個を販売し、現金440,000円を受け取った。

売手(A社)

借方 金額 貸方 金額
現金 440,000 ※1 売上 376,000 ※2
仮受消費税等 40,000 ※3
返金負債  24,000 ※4

(注)取引価格の算定 (@2,000円×200個+@1,800円×300個)÷500個=@1,880円
※1 @2,000円(販売単価)×200個=400,000円
※2 @1,880円(取引価格)×200個=376,000円
※3 400,000円×10%=40,000円
※4 400,000円-376,000円=24,000円

販売単価2,000円のときに、取引価格1,880円で売上に計上したので、貸方に返金負債を計上します。 仮受消費税等の算定は、取引価格ではなく販売単価に消費税率を乗じます。

 

買手(B社)

借方 金額 貸方 金額
仕入 400,000 ※1 現金 440,000
仮払消費税等 40,000 ※2

※1 @2,000円×200個=400,000円
※2 400,000円×10%=40,000円

買手側は、取引価格を使用せず、通常の方法で仕入や仮払消費税等の計上をする。

 

(2)x1年12月17日、A社はB社に商品300個を追加販売し、現金594,000円を受け取った。なお、当社の顧客に対する販売数量の見込みに変更はない。

売手(A社)

借方 金額 貸方 金額
現金 594,000 売上 564,000 ※1
返金負債 24,000 ※3 仮受消費税等 54,000 ※ 3

※1 @1,880円(取引価格)×300個=564,000円
※2 @1,800円(販売単価)×300個=540,000円 540,000円×10%=54,000円
※3 564,000円-540,000円=24,000円

販売単価1,800円のときに、取引価格1,880円で売上に計上したので、借方に返金負債を計上します。

 

買手(B社)

借方 金額 貸方 金額
仕入 540,000 ※1 現金 594,000
仮払消費税等 54,000 ※2

※1 @1,800円×300個=540,000円
※2 540,000円×10%=54,000円

法人税法上の取扱い

会計上の取扱いと同じ処理です。

 

消費税法上の取扱い

A社はB社と「1年間の販売数量が200個までは販売単価2,000円(税抜)とし、201個からは販売単価1,800円(税抜)とする。」という契約を締結した。この契約における対価には変動性がある。当社はA社への1年間の販売数量予測は500個になると予想している。なお、消費税率10%とする。

(1)x1年7月5日、A社はB社に商品200個を販売し、現金440,000円を受け取った。

A社(売手)

課税売上げの対価 440,000円×100/110=400,000円
課税売上げに係る消費税額 440,000円×10/110=40,000円

 

B社(買手)

課税仕入れの対価 440,000円×100/110=400,000円
課税仕入れに係る消費税額 440,000円×10/110=40,000円

 

(2)x1年12月17日、A社はB社に商品300個を追加販売し、現金594,000円を受け取った。なお、当社の顧客に対する販売数量の見込みに変更はない。

A社(売手)

課税売上げの対価 594,000円×100/110=540,000円
課税売上げに係る消費税額 594,000円×10/110=54,000円

 

B社(買手)

課税仕入れの対価 594,000円×100/110=540,000円
課税仕入れに係る消費税額 594,000円×10/110=54,000円

 

具体例

下記の資料に基づいて、問1、問2の当社の仕訳を示しなさい。

<資料>

当社はC社と「1年間の販売数量が500個までは販売単価4,000円(税抜)とし、501個からは販売単価3,800円(税抜)とする。」という契約を締結した。この契約における対価には変動性がある。当社はA社への1年間の販売数量予測は1,000個になると予想している。なお、消費税率10%とする。

問1

x3年6月1日、当社はC社に商品500個を販売し、現金2,200,000円を受け取った。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
現金 2,200,000 売上 1,950,000 ※2
仮受消費税等 200,000 ※3
返金負債 50,000 ※4

(注)取引価格の算定 (@4,000円×500個+@3,800円×500個)÷1,000個=@3,900円

※1 @4,000円(販売単価)×500個=2,000,000円
※2 @3,900円(取引価格)×500個=1,950,000円
※3 2,000,000円×10%=200,000円
※4 2,000,000円-1,950,000円=50,000円

販売単価4,000円のときに、取引価格3,900円で売上に計上したので、貸方に返金負債を計上します。

 

問2

x4年2月15日、当社はC社に商品500個を販売し、現金2,090,000円を受け取った。なお、当社の顧客に対する販売数量の見込みに変更はない。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額
現金 2,090,000 売上 1,950,000 ※1
返金負債 50,000 ※3 仮受消費税等 190,000 ※ 3

※1 @3,900円(取引価格)×500個=1,950.000円
※2 @3,800円(販売単価)×500個=1,900,000円 1,900,000円×10%=190,000円
※3 1,950.000円-1,900,000円=50,000円

販売単価3,800円のときに、取引価格3,900円で売上に計上したので、借方に返金負債を計上します。

まとめ

  • 仮受消費税等の算定は、取引価格ではなく販売単価に消費税率を乗じる。
  • 買手側は、取引価格を使用せず、通常の方法で仕入や仮払消費税等の計上をする。

基本【返金負債】売上割戻を見込む販売の仕訳、会計処理について解説【変動対価】

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