未着品販売

簿記

未着品販売 「期末一括法」と「その都度法」の比較【決算整理や荷為替手形の仕訳も解説】

2020年3月1日

遠隔地の仕入先から商品を仕入れる場合、船や飛行機などによる商品の輸送に時間がかかるので、商品が到着する前に運送業者が発行した船荷証券・貨物引換証と呼ばれる貨物代表証券を仕入先から受け取ることがあります。

貨物代表証券は商品を受け取る権利を示す証券であり、貨物代表証券を受け取った時に未着品勘定(流動資産)の勘定科目を使って処理します。

貨物代表証券を運送業者に引き渡すことによって商品を受け取ることができます。
そして、商品を受け取った時に未着品勘定から仕入勘定への振替を行います。

商品が到着する前に貨物代表証券を売却した場合は「未着品売上」勘定を使用します。

未着品売買

未着品売買とは、貨物代表証券の購入、現品引取及び販売のことをいいます。

 

未着品の仕訳例

未着品の仕訳は、貨物代表証券を受け取ったとき、貨物代表証券と引き換えに商品を受け取ったとき、貨物代表証券を売却したときに下記の仕訳をします。

 

貨物代表証券を受け取ったとき

遠隔地の仕入先に対し商品10,000円を掛けで注文し、貨物代表証券を受け取った。

借方 金額 貸方 金額
未着品 10,000 買掛金 10,000

貨物代表証券を受け取ったときは、仕入勘定ではなく未着品勘定(流動資産)で処理します。

 

貨物代表証券と引き換えに商品を受け取ったとき

注文していた商品が到着し、貨物代表証券と引き換えに運送業者から商品を受け取った。

借方 金額 貸方 金額
仕入 10,000 未着品 10,000

貨物代表証券と引き換えに商品を受け取ったときは、未着品勘定から仕入勘定に振り替える仕訳をします。引き取り時の付随費用があった場合は仕入勘定に含めて処理します。

 

貨物代表証券を売却したとき(その都度法)

注文していた商品が到着する前に貨物代表証券を12,000円で売却し、代金は掛けとした。

 

借方 金額 貸方 金額
売掛金 12,000 未着品売上 12,000
仕入 10,000 未着品 10,000

その都度法は貨物代表証券を売却したときに、未着品勘定から仕入勘定に振り替える仕訳をします。

 

決算整理仕訳(その都度法)

仕訳不要

 

貨物代表証券を売却したとき(期末一括法)

注文していた商品が到着する前に貨物代表証券を12,000円で売却し、代金は掛けとした。

借方 金額 貸方 金額
売掛金 12,000 未着品売上 12,000

 

決算整理仕訳(期末一括法)

借方 金額 貸方 金額
仕入 10,000 未着品 10,000

期末一括法は決算整理仕訳のときに、未着品勘定から仕入勘定に振り替える仕訳をします。

 

荷為替手形

荷為替手形とは、隔地売買の売り手が運送物品を担保することにより、買い手を支払人として振り出した為替手形のことをいいます。
売り手はただちに銀行で手形の割引を受けて代金を回収します。

 

荷送人(売り手)の仕訳

荷為替取組時

借方 金額 貸方 金額
当座預金 xxx 売上 xxx
手形売却損 xxx
売掛金 xxx

 

手形決済時

仕訳不要

 

荷受人(買い手)の仕訳

手形受取時

借方 金額 貸方 金額
未着品 xxx 支払手形 xxx
買掛金 xxx

 

手形決済時

借方 金額 貸方 金額
支払手形 xxx 当座預金 xxx

 

具体例1:その都度法

次の各時点における仕訳を示しなさい。なお、未着品についてはその都度法を採用している。

1.遠隔地から商品300,000円を掛で仕入れ、貨物代表証券を受け取った。

2.貨物代表証券のうち200,000円について商品を引き取り、引取費用1,000円を現金で支払った。

3.貨物代表証券のうち50,000円を掛で販売した。なお、原価率は80%である。

4.決算をむかえた。期首手元商品棚卸高10,000円、期末手元商品棚卸高5,000円、期首貨物代表証券棚卸高20,000円、期末貨物代表証券棚卸高70,000円である。

 

【解答・解説】
1.

借方 金額 貸方 金額
未着品 300,000 買掛金 300,000

 

2.

借方 金額 貸方 金額
仕入 201,000 未着品 200,000
現金 1,000

 

3.

借方 金額 貸方 金額
売掛金 62,500 未着品売上 62,500
仕入 50,000 未着品 50,000

50,000円÷80%=62,500円

その都度法なので、貨物代表証券を売却したときに、未着品勘定から仕入勘定に振り替えます。

 

4.

借方 金額 貸方 金額
仕入 10,000 繰越商品 10,000
繰越商品 5,000 仕入 5,000

その都度法なので、決算時に未着品の振替仕訳をしません。

振替仕訳をしなくても、決算整理前残高試算表(前T/B)の未着品残高と期末貨物代表証券棚卸高が70,000円で一致しています。

 

具体例2:期末一括法

次の各時点における仕訳を示しなさい。なお、未着品については期末一括法を採用している。

1.遠隔地から商品300,000円を掛で仕入れ、貨物代表証券を受け取った。

2.貨物代表証券のうち200,000円について商品を引き取り、引取費用1,000円を現金で支払った。

3.貨物代表証券のうち50,000円を掛で販売した。なお、原価率は80%である。

4.決算をむかえた。期首手元商品棚卸高10,000円、期末手元商品棚卸高5,000円、期首貨物代表証券棚卸高20,000円、期末貨物代表証券棚卸高70,000円である。

 

【解答・解説】
1.

借方 金額 貸方 金額
未着品 300,000 買掛金 300,000

 

2.

借方 金額 貸方 金額
仕入 201,000 未着品 200,000
現金 1,000

 

3.

借方 金額 貸方 金額
売掛金 62,500 未着品売上 62,500

50,000円÷80%=62,500円

 

4.

借方 金額 貸方 金額
仕入 10,000 繰越商品 10,000
繰越商品 5,000 仕入 5,000
借方 金額 貸方 金額
仕入 120,000 未着品 120,000
未着品 70,000 仕入 70,000

期末一括法なので、決算時に振替仕訳をします。

決算整理前残高試算表(前T/B)の未着品残高120,000円(期首未着品20,000円+当期未着品取得分300,000円-商品引換分200,000円=120,000円)を全額仕入勘定に振り替え、期末貨物代表証券棚卸高70,000円を未着品勘定に振り替えます。

 

具体例3:荷為替手形

A社、B社それぞれの仕訳を示しなさい。

A社はB社に商品100,000円を販売し、そのうち80,000円の荷為替を取り組み、割引料1,000円を差し引かれ、手取金は当座預金とした。
B社は銀行から上記の荷為替手形の提示を受け、これを引き受け、貨物引換証券を受け取った。

 

【解答・解説】
A社

借方 金額 貸方 金額
当座預金 79,000 売上 100,000
手形売却損 1,000
売掛金 20,000

 

B社

借方 金額 貸方 金額
未着品 100,000 支払手形 80,000
買掛金 20,000

 

まとめ

未着品販売は割賦販売や試用品販売といった他の特殊商品売買と比べると簡単な項目です。
今回は手元商品区分法における未着品販売について解説しましたが、ポイントは「期末一括法」と「その都度法」の未着品の原価を算出するタイミングです。

その都度法は貨物代表証券を売却したときに、未着品勘定から仕入勘定に振り替える仕訳するので決算整理仕訳は不要です。
期末一括法は決算整理のときに、未着品勘定から仕入勘定に振り替える仕訳をします。

未着品販売の基本的な仕訳をマスターしてから、荷為替手形の仕訳にチャレンジしてください。

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