新株予約権を取得した場合、保有目的の区分に応じて会計処理が異なります。
この記事では、新株予約権を取得した側の会計処理について解説します。
目次
その他有価証券として保有する場合
ポイントは次のとおりです。
- 新株予約権の取得時に「投資有価証券」勘定で処理する。
- 新株予約権の行使時に、帳簿価額で株式に振り替える。
- 期末に時価評価をする。
- 翌期に振り戻しを行う。
仕訳パターン
・取得時
新株予約権10個(1個あたり200円)を取得し、当座口座より支払った。なお、取得した新株予約権は「その他有価証券」に分類される。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
投資有価証券 | 2,000 | 当座 | 2,000 |
新株予約権の取得時に新株予約権を「投資有価証券」勘定で処理します。
・権利行使時
新株予約権10個を権利行使した。なお、新株予約権1個につき払込金額500円、取得株式は2株であり、当座口座より支払った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
投資有価証券 | 7,000 ※3 | 当座 | 5,000 ※1 |
投資有価証券 | 2,000 ※2 |
※1 500円×10個=5,000円
※2 200円×10個=2000円(帳簿価額)
※3 貸方合計
新株予約権を行使したときは、帳簿価額で株式に振替えます。
売買目的有価証券として保有する場合
ポイントは次のとおりです。
- 新株予約権の取得時に「有価証券」勘定で処理する。
- 新株予約権の行使時に、権利行使時の時価で株式に振り替え、差額は「有価証券評価損益」で処理する。
- 期末に時価評価をする。
- 洗替法の場合は翌期に振り戻しを行う。切放法の場合は翌期に振り戻しを行わない。
仕訳パターン
・取得時
新株予約権10個(1個あたり200円)を取得し、当座口座より支払った。なお、取得した新株予約権は「有価証券」に分類される。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
有価証券 | 2,000 ※1 | 当座 | 2,000 |
※1 200円×10個=2,000円
新株予約権の取得時に「有価証券」勘定で処理します。
・権利行使時
新株予約権10個を権利行使した。なお、新株予約権1個につき払込金額500円、取得株式は2株であり、当座口座より支払った。また、権利行使時の新株予約権の時価は210円である。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
有価証券 | 100 ※1 | 有価証券評価損益 | 100 |
有価証券 | 7,100 ※3 | 有価証券 | 2,100 ※2 |
当座 | 5,000 |
※1 (210円-200円)×10個=100円
※2 210円×100個=2,100円
※3 貸方合計
新株予約権を行使したときは、時価で株式に振替えます。
まとめ
保有目的 | ||
その他有価証券 | 有価証券 | |
新株予約権の取得時 | 「投資有価証券」勘定で処理する。 | 「有価証券」勘定で処理する。 |
新株予約権の行使時 | 帳簿価額で株式に振り替える。 | 権利行使時の時価で株式に振り替え、差額は「有価証券評価損益」で処理する。 |
決算時の処理 | 時価評価をする。 | 時価評価をする。 |
翌期の処理 | 振り戻しを行う。 | 洗替法の場合は翌期に振り戻しを行う。 切放法の場合は翌期に振り戻しを行わない。 |