他社ポイントとは、他社が運営するポイントを購入して、そのポイントを自社の顧客に付与するものです。
収益認識基準では、企業が商品などの販売時に顧客に付与した他社ポイントは、他社への支払額として「未払金」に計上し、その未払金を控除した金額を売上として収益認識します。
また、顧客が他社ポイントを使用した場合は「未収金」に計上します。
この記事では、消費税等を考慮する場合の他社ポイントについて解説します。
目次
会計上の取扱い
商品の売買時
当社は第三者であるB社が運営するポイントプログラムに参加している。当該プログラムでは、当社の商品を購入した顧客に対し、購入時に購入価額100円(税込み)につきB社ポイントが 1 ポイント付与される。その後、当社はB社に対し、1ポイントにつき1円を支払う。なお、消費税率10%とし、税抜経理方式を採用している。また、端数が生じた場合は円未満を四捨五入する。
x1年11月5日、当社は顧客に商品110,000円(税込み)を現金で販売し、B社ポイントが 1,100 ポイント付与される旨を顧客に伝達した。
当社(売手)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 110,000 | 売上 | 98,900 ※1 |
未払金 | 1,100 ※2 | ||
仮受消費税等 | 1,000 ※3 |
※1 110,000円×100/110=100,000円 100,000円-1,100円=98,900円
※2 110,000円×1%=1,100円
※3 110,000円×10/110=1,000円
顧客(買手)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕入 | 100,000 ※1 | 現金 | 110,000 |
仮払消費税勘定 | 10,000 ※2 |
※1 110,000円×100/110=100,000円
※2 110,000円×10/110=1,000円
他社ポイントの支払時
x1年12月31日、当社は5,000円分のB社ポイントをB社に現金で支払った。
当社
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未払金 | 5,000 | 現金 | 5,000 |
他社(B社)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 5,000 | 未収金 | 5,000 |
ポイント使用時
x2年2月5日、当社は顧客に商品1,100円(税込み)を販売し、1,100ポイントが使用された。
当社(売手)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未収金 | 1,100 | 売上 | 1,000 ※1 |
仮受消費税等 | 100 ※2 |
※1 1,100円×100/110=1,000円
※2 1,100円×10/110=100円
ポイントのみで決済された場合でも仮受消費税等を計上します。
顧客(買手)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕入 | 1,000 ※1 | 雑収入 | 1,100 |
仮払消費税等 | 100 ※2 |
※1 1,100円×100/110=1,000円
※2 1,100円×10/110=100円
ポイントのみで決済した場合でも仮払消費税等を計上します。
他社からの受領時(ポイント相当額)
x2年3月31日、当社は顧客が使用した2,000ポイント相当額をB社から受領した。
当社
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 2,000 | 未収金 | 2,000 |
他社(B社)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未払金 | 2,000 | 現金 | 2,000 |
基本【契約負債】自社が運営するポイントの仕訳、会計処理について解説
消費税法上の取扱い
商品の売買時
当社は第三者であるB社が運営するポイントプログラムに参加している。当該プログラムでは、当社の商品を購入した顧客に対し、購入時に購入価額100円(税込み)につきB社ポイントが 1 ポイント付与される。その後、当社はB社に対し、1ポイントにつき1円を支払う。なお、消費税率10%とし、税抜経理方式を採用している。また、端数が生じた場合は円未満を四捨五入する。
x1年11月5日、当社は顧客に商品110,000円(税込み)を現金で販売し、B社ポイントが 1,100 ポイント付与される旨を顧客に伝達した。
当社(売手)
課税売上げの対価 | 11,000円×100/110=10,000円 |
課税売上げに係る消費税額 | 10,000円×10%=1,000円 |
顧客(買手)
課税仕入れの対価 | 11,000円×100/110=10,000円 |
課税仕入れに係る消費税額 | 10,000円×10%=1,000円 |
他社ポイントの支払時
x1年12月31日、当社は5,000円分のB社ポイントをB社に現金で支払った。
当社
処理なし |
他社(B社)
処理なし |
ポイント使用時
x2年2月5日、当社は顧客に商品1,100円(税込み)を販売し、1,100ポイントが使用された。
当社(売手)
課税売上げの対価 | 1,100円×100/110=1,000円 |
課税売上げに係る消費税額 | 1,000円×10%=100円 |
顧客(買手)
課税仕入れの対価 | 1,100円×100/110=1,000円 |
課税仕入れに係る消費税額 | 1,000円×10%=100円 |
他社からの受領時(ポイント相当額)
x2年12月31日、当社は5,000円分のB社ポイントをB社に現金で支払った。
当社
処理なし |
他社(B社)
処理なし |
具体例
下記の資料に基づいて、問1から問3の甲社の仕訳を示しなさい。
<資料>
甲社は第三者である乙社が運営するポイントプログラムに参加している。当該プログラムでは、甲社の商品を購入した顧客に対し、購入時に購入価額100円(税込み)につき乙社ポイントが 1 ポイント付与される。その後、当社は乙社に対し、1ポイントにつき1円を支払う。なお、消費税率10%とし、税抜経理方式を採用している。また、端数が生じた場合は円未満を四捨五入する。
問1
x3年5月8日、当社は顧客に商品77,000円(税込み)を現金で販売し、乙社ポイントが 770 ポイント付与される旨を顧客に伝達した。
【解答・解説】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 77,000 | 売上 | 69,230 ※1 |
未払金 | 770 ※2 | ||
仮受消費税等 | 7,000 ※3 |
※1 77,000円×100/110=70,000円 70,000円-770円=69,230円
※2 77,000円×1%=770円
※3 77,000円×10/110=7,000円
問2
x3年12月31日、甲社は10,000円分の乙社ポイントを乙社に現金で支払った。
【解答・解説】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未払金 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
問3
x4年1月26日、当社は顧客に商品550円(税込み)を販売し、550ポイントで決済された。
【解答・解説】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未収金 | 550 | 売上 | 500 ※1 |
仮受消費税等 | 50 ※2 |
※1 550円×100/110=500円
※2 550円×10/110=50円
まとめ
- 売上は税抜処理をしてから未払金を控除して算定する。
- 売手はポイントのみで決済された場合でも仮受消費税等を計上する。
- 買手はポイントのみで決済した場合でも仮払消費税等を計上する。
- 上記以外は、消費税等を考慮を考慮しない場合と同様の処理をする。