クレジット売掛金とは、クレジットカード取引によって発生した売掛債権のことです。クレジット売掛金は後日、金銭を受け取る権利なので資産に属する科目です。
クレジット売掛金も基本的な考え方は通常の「売掛金」と同じです。ただし、支払手数料や消費税の取り扱いについては注意が必要です。
平成28年度から日商簿記2級の出題内容に「クレジット売掛金」が追加されました。
目次
「クレジット売掛金」と「売掛金」との違い
クレジット売掛金と売掛金の違いは、債権先が異なる点です。
売掛金の場合は商品を販売した相手(得意先)が債権先になります。
クレジット売掛金の場合は、商品を販売した相手ではなく信販会社(クレジット会社)が債権先になります。
売掛金は販売した相手に対する債権で、クレジット売掛金は信販会社に対する債権という違いがあるので、「クレジット売掛金」と「売掛金」の勘定科目を区別して仕訳をする必要があります。
【図1:売掛金の場合】
【図2:クレジット売掛金の場合】
クレジット売掛金の基本仕訳
販売時
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
クレジット売掛金 | xxx | 売上 | xxx |
支払手数料 | xxx |
入金時
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金預金 | xxx | クレジット売掛金 | xxx |
財務諸表上の区分表示と表示科目
クレジット売掛金は貸借対照表(B/S)の「流動資産」に分類されます。表示科目は「売掛金」です。クレジット売掛金は、「売掛金」に含めて表示するので注意してください。
支払手数料は損益計算書(P/L)の「販売費及び一般管理費」に分類されます。表示科目は「支払手数料」です。
具体例1:消費税なしの場合
次の各時点における仕訳を示しなさい。
①A社は、商品20,000円をクレジット払いの条件で販売した。なお、信販会社へのクレジット手数料は販売代金の4%であり、販売時に認識するものとする。
②上記のクレジット払いの条件で売り上げた20,000円から手数が引かれた残額が、信販会社からA社の当座預金口座に振り込まれた。
【解答・解説】
①
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
クレジット売掛金 | 19,200 *2 | 売上 | 20,000 |
支払手数料 | 800 *1 |
*1 20,000円×4%=800円
*2 差額
②
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
当座預金 | 19,200 | クレジット売掛金 | 19,200 |
具体例2:返品があった場合
クレジット払いの条件で販売した商品10,000円が返品されたため、当該取引の取り消し処理を行った。なお、信販会社へのクレジット手数料4%を販売時に計上している。
【解答・解説】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
売上 | 10,000 | クレジット売掛金 | 9,600 *2 |
支払手数料 | 400 *1 |
*1 10,000円×4%=400円
*2 差額 10,000円ー400円=9,600円
具体例3:消費税あり(税込方式)
A社は、商品20,000円をクレジット払いの条件で販売した。なお、信販会社へのクレジット手数料は販売代金の4%であり、販売時に認識するものとする。
消費税の税率は10%とし、A社は税込方式を採用している。また、クレジット手数料には消費税が課されないものとする。
【解答・解説】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
クレジット売掛金 | 21,200 *3 | 売上 | 22,000 *1 |
支払手数料 | 800 *2 |
*1 20,000円×1.1=22,000円
*2 20,000円×4%=800円
*3 差額 22,000円ー800円=21,200円
具体例4:消費税あり(税抜方式)
A社は、商品20,000円をクレジット払いの条件で販売した。なお、信販会社へのクレジット手数料は販売代金の4%であり、販売時に認識するものとする。
消費税の税率は10%とし、A社は税抜方式を採用している。また、クレジット手数料には消費税が課されないものとする。
【解答・解説】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
クレジット売掛金 | 21,200 *3 | 売上 | 20,000 |
支払手数料 | 800 *2 | 仮受消費税等 | 2,000 *1 |
*1 20,000円×10%=2,000円
*2 20,000円×4%=800円
*3 差額 20,000円+2,000円-800円=21,200円
まとめ
売掛金は販売した相手に対する債権で、クレジット売掛金は信販会社に対する債権。
基本的な考え方はクレジット売掛金も通常の「売掛金」と同じ。
クレジット売掛金は「売掛金」に含めて流動資産に計上する。