元入金とは、個人事業主の事業の元手となる資金のことをいいます。
事業を開始した翌年以降の元入金の金額は、元手となる資金と事業で獲得した利益が合計されるので、毎年変動します。
この記事では、元入金の仕訳や繰越処理について解説します。
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目次
元入金と資本金の違い
資本金は会社の設立時や増資時に出資者から拠出してもらった資金で、元入金は個人事業主が事業を開始時に拠出した資金です。
資本金は「増資や減資」以外では変動しませんが、元入金は事業で獲得した利益が加減されるので毎年変動します。
したがって、「元入金」は「資本金+剰余金」のイメージです。
開業時の仕訳
個人事業主が事業を開始時に拠出した資金は「元入金」勘定で記帳します。
<具体例>
個人事業主が事業資金として300,000円を普通預金口座に預け入れ、事業を開始した。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
普通預金 | 300,000 | 元入金 | 300,000 | 事業開始資金 |
元入金の処理のタイミング
繰越仕訳以外の仕訳をすべて入力して、青色申告決算書(貸借対照表、損益計算書)を作成する。
↓
元入金の繰越仕訳を行う。
↓
翌年の帳簿に資産、負債、純資産の引き継ぎを行う。
青色申告決算書とは、青色申告者が確定申告で提出する決算書のことをいいます。 青色申告決算書は損益計算書1枚、損益計算書の内訳明細書2枚、貸借対照表1枚という構成になっています。
期首と期末の金額が同じ理由
- 元入金は「年初の資産総額から負債総額を差し引いた金額」なので、期中は変動しない。
- 元入金の繰越仕訳は、青色申告決算書(貸借対照表、損益計算書)の作成後に行われる。
上記のことから、元入金は開業日以後、期首と期末で同額になります。
元入金の計算式
翌期首の元入金=期首の元入金+事業主借-事業主貸+当期純利益(青色申告特別控除前利益)
繰越処理
繰越処理とは、確定申告の終了後に「損益項目」「事業主貸」「事業主借」の残高を「元入金」に振り替えて、翌年の帳簿に反映させる処理のことをいいます。
<具体例>
下記の資料に基づき、元入金の繰越処理を行った。
【資料】
青色申告特別控除前の所得金額(損益勘定):500,000円(貸方)
事業主借:100,000円(貸方)
事業主貸:300,000円(借方)
当期首の元入金:200,000円(貸方)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
損益 | 500,000 | 元入金 | 500,000 | 年度末振替 |
事業主借 | 100,000 | 元入金 | 100,000 | |
元入金 | 200,000 | 事業主貸 | 200,000 |
ココがポイント
翌期首の元入金の金額は下記のとおりです。
当期首の元入金200,000円+青色申告特別控除前の所得金額500,000円+事業主借100,000円-事業主貸200,000円=翌期首の元入金600,000円
元入金がマイナスになった場合
元入金は「資本金」とは異なり、マイナスになることもあります。
元入金がマイナスの場合でも、資金繰りに問題がなければ大丈夫ですが、金融機関から融資を受けるときに不利になります。
個人事業主の場合、元入金がマイナスになっていると債務超過とみなされてしまうからです。
債務超過とは、負債の総額が資産の総額を上回っている状態のことをいいます。
まとめ
- 「元入金」は「資本金+剰余金」のイメージ。
- 個人事業主が事業を開始時に拠出した資金は「元入金」勘定で記帳する。
- 元入金の繰越仕訳は、青色申告決算書(貸借対照表、損益計算書)の作成後に行われる。
- 元入金は開業日以後、期首と期末で同額になる。
- 翌期首の元入金=期首の元入金+事業主借-事業主貸+当期純利益(青色申告特別控除前利益)
- 元入金がマイナスの場合でも、資金繰りに問題がなければ大丈夫。
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