小口現金出納帳とは、日々の現金の動きを管理するために使用される帳簿です。他の帳簿に比べて記入方法が少し複雑であるため、初めて取り扱う人にとっては少し戸惑うこともあるかもしれません。
特に、小口現金を補給するタイミングや、帳簿の締め方の違いをしっかり理解することが重要です。なお、日商簿記3級では、小口現金出納帳の問題が出題されます。
この記事では、小口現金出納帳の記入方法について、補給タイミングを「即日補給」と「翌日補給」の2つのケースに分けて、具体的な記入手順をわかりやすく解説します。
目次
小口現金出納帳を記入する人
小口現金出納帳は通常「小払係」が記入します。小払係とは、会社の中で現金の支払いや管理を担当する人のことです。この役割は、特に「定額資金前渡法」や「インプレスト・システム」と呼ばれる方法を採用している場合に重要です。この方法では、小払係が経理課に現金の支払い報告を行う際に記入をし、帳簿を締めます。
また、小口現金として渡される現金は「仮払金」ではなく、会社の資金としてきちんと管理される必要があります。つまり、小口現金は会社の財産の一部として、しっかり管理されるべきものなのです。
即日補給と翌日補給の違い
即日補給と翌日補給(または月末補給)には、主に以下のような違いがあります。
- 繰越金額
即日補給の場合、補給後の金額が繰越金額として反映されます。一方、翌日補給では、前月に支払った金額を差し引いた残額が繰越金額となります。 - 補給タイミング
即日補給は支払いが行われたその日に補充されますが、翌日補給は支払いの翌営業日や月末・月初に補充されることが一般的です。
これらの違いを理解することは、正確な記録を行うために非常に重要です。
なお、「週末補給」や「月末補給」といった表現は、補給タイミングを説明する際に使われることがありますが、正式な名称としては使いません。一般的には「即日補給」や「翌日補給」という用語が適切です。
小口現金出納帳の記入方法
小口現金出納帳の記入方法を理解するためには、補給タイミングと帳簿の締め方をしっかり押さえることが大切です。ここでは、補給タイミングが「即日補給」と「翌日補給」の2つの場合について、それぞれ具体的に解説していきます。
即日補給の記入方法
即日補給とは、支払いが行われたその日に現金を補充する方法です。これが一番基本的な方法で、毎日のように使用されることが多いです。即日補給の場合、記入の流れは次のようになります。
- 受入欄には、補給額を記入します。
- 日付欄には、補給や支払いが行われた日付を記入します。
- 摘要欄には、支払いの内容や補給の理由を記入します。例えば、「電車代」や「切手代」など、支払い内容を簡潔に書きます。
- 支払欄には、実際に支払った金額を記入します。
- 内訳欄には、その支払金額を細かく内訳として記入します。例えば、複数の項目に分かれて支払いをした場合、それぞれの金額を記載します。
- 支払欄から内訳欄までの間に合計線(一重線)を引き、摘要欄には「合計」と記入します。そして、支払欄および内訳欄にそれぞれの合計金額を記入します。金額が一致することを確認した上で、内訳欄に締め切り線(二重線)を引き、記入が終わったことを示します。
- 受入欄には支払欄の合計額と同額を記入し、日付欄には月末の日付を記入します。摘要欄には「本日補給」と記入します。
- 月末の日付を再度記入し、摘要欄に「次月繰越」と記入します。支払欄には月末残高を記入します。「次月繰越」は赤字で書くことが推奨されていますが、黒字でも大丈夫です。簿記検定では黒字で記入します。
- 受入欄と支払欄に合計線(一重線)を引き、受入欄に受入金額の合計、支払欄に支払金額の合計を記入します。その後、受入欄、日付欄、支払欄、残高欄には締め切り線(二重線)を引いて、帳簿が完了したことを示します。
- 受入欄には、次月繰越金額と同額を記入し、日付欄には翌月1日の日付を記入します。摘要欄には「前月繰越」と記入します。
翌日補給の記入方法
次に、翌日補給(または月末補給)について説明します。翌日補給は、支払いの翌営業日に補充される方法です。この場合、記入方法は少し異なりますが、基本的な流れは即日補給と似ています。
- 受入欄には、補給額を記入します。
- 日付欄には、補給や支払いが行われた日付を記入します。
- 摘要欄には、支払いの内容や補給の理由を記入します。例えば、「電車代」や「切手代」など、支払い内容を簡潔に書きます。
- 支払欄には、実際に支払った金額を記入します。
- 内訳欄には、その支払金額を細かく内訳として記入します。例えば、複数の項目に分かれて支払いをした場合、それぞれの金額を記載します。
- 翌日補給のため、前月末日に小口現金の補給を行っていません。受入欄には前月の支払欄の合計額と同額を記入し、日付欄には当月1日の日付を記入します。摘要欄には「本日補給」と記入します。
- 支払欄から内訳欄までの間に合計線(一重線)を引き、摘要欄には「合計」と記入します。そして、支払欄および内訳欄にそれぞれの合計金額を記入します。金額が一致することを確認した上で、内訳欄に締め切り線(二重線)を引き、記入が終わったことを示します。
- 月末の日付を再度記入し、摘要欄に「次月繰越」と記入します。支払欄には月末残高を記入します。「次月繰越」は赤字で書くことが推奨されていますが、黒字でも大丈夫です。簿記検定では黒字で記入します。
- 受入欄と支払欄に合計線(一重線)を引き、受入欄に受入金額の合計、支払欄に支払金額の合計を記入します。その後、受入欄、日付欄、支払欄、残高欄には締め切り線(二重線)を引いて、帳簿が完了したことを示します。
- 受入欄に次月繰越金額と同額を記入し、日付欄には翌月1日の日付を記入します。摘要欄には「前月繰越」と記入します。
- 受入欄に支払欄の合計額と同額を記入し、日付欄には翌月1日の日付を記入します。摘要欄には「本日補給」と記入します。
まとめ
小口現金出納帳の記入方法は、補給タイミングと帳簿の締め方をしっかり理解することで、スムーズに覚えられます。
特に、即日補給と翌日補給の違いを理解することで、実際の記入時に迷うことなく進められるようになります。この記事で紹介した手順を元に、実際に記入を試みて、確実に覚えていきましょう。