この記事では「建物付き土地」に関する仕訳について解説します。
目次
「建物付き土地」を購入したとき
「建物付き土地」を購入した場合の仕訳は、目的によって処理方法が異なります。
建物の取得が目的の場合
建物の取得が目的で「建物付き土地」を購入した場合には、建物と土地をそれぞれ取得原価で計上します。
<例>
建物付き土地を20,000円(建物12,000円、土地8,000円)で購入し、代金は現金で支払った。
なお、建物は取り壊さずに利用する予定である。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
建物 | 12,000 | 現金 | 20,000 |
土地 | 8,000 |
土地の取得が目的の場合
土地の取得が目的で「建物付き土地」を購入した場合は、建物の取得原価を土地の取得原価に算入します。
<例>
建物付き土地を20,000円(建物12,000円、土地8,000円)で購入し、代金は現金で支払った。
なお、建物は取り壊す予定である。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 | 20,000 | 現金 | 20,000 |
取り壊し時の仕訳
土地の取得が目的で「建物付き土地」を購入したあとに、その建物を取り壊した場合には、取壊し費用や解体費用などを土地の取得原価に算入します。
<例>
土地の取得が目的で取得した建物の解体費用20,000円を現金で支払った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 | 20,000 | 現金 | 20,000 |
廃材の売却時
建物の取り壊しの際に発生した廃材を売却する場合は、廃材売却収入を取得原価から控除します。
<例>
土地の取得が目的で取得した建物を取り壊し、その際に発生した廃材を現金5,000円で売却した。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 5,000 | 土地 | 5,000 |
消費税の取り扱い
消費税法上、土地の購入は非課税に該当するので消費税が課されません。
したがって、土地付き建物を購入した場合は、土地に対応する部分は非課税で、建物に対応する部分は消費税が課されます。
土地の取得が目的で取得した「土地付き建物」でも建物に対応する部分は消費税が課されます。
税抜き方式
<例>
建物付き土地を20,000円(建物12,000円、土地8,000円)で購入し、消費税1,200円とともに現金で支払った。
なお、建物は取り壊さずに利用する予定である。
(注)消費税の処理は税抜き方式を採用している。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
建物 | 12,000 | 現金 | 21,200 |
土地 | 8,000 | ||
仮払消費税等 | 1,200 |
税込み方式
<例>
建物付き土地を20,000円(建物12,000円、土地8,000円)で購入し、消費税1,200円とともに現金で支払った。
なお、建物は取り壊さずに利用する予定である。
(注)消費税の処理は税込み方式を採用している。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
建物 | 13,200 ※ | 現金 | 21,200 |
土地 | 8,000 |
※建物12,000円+消費税1,200円=13,200円
税込み方式の場合、消費税を建物の取得原価に加算します。
具体例
土地の取得が目的で、建物付き土地30,000円(建物23,000円、土地7,000円)を購入し、建物の解体費用1,500円とともに現金で支払った。
【解答・解説】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
土地 | 31,500 ※ | 現金 | 31,500 |
※ 土地付き建物30,000円+解体費用1,500円=31,500円
土地の取得が目的の場合、「建物の取得原価」と「建物の解体費用」を土地の取得原価に算入するのがポイントです。
まとめ
- 「建物付き土地」を購入したときの仕訳は、目的によって異なる。
- 建物の取得が目的の場合は、建物と土地の取得原価をそれぞれ計上する。
- 土地の取得が目的の場合は、建物の取得原価や取壊し費用などを土地の取得原価に算入する。
- 建物の取り壊しの際に発生した廃材を売却する場合は、廃材売却収入を取得原価から控除する。
- 「建物付き土地」を購入した場合、土地に対応する部分は消費税が課されないが、建物に対応する部分は消費税が課される。