ここでは、保険制度全般に関する基本的な知識を学びます。
保険業法と保険法が制度の基盤となり、特に保険業法に関連する重要な事項や禁止行為について理解を深めることが求められます。
また、保険契約者の保護に関する制度やリスク管理の指標であるソルベンシーマージン比率についても学び、実際の保険業務における重要なルールを把握しましょう。
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保険業法の基礎と禁止行為
ここでは、保険業法の重要な規定を理解し、特に「保険業法に基づく禁止行為」に焦点を当てて学んでいきましょう。
保険業法
保険業法は、保険業に関する規制を定める法律で、金融庁が保険会社の業務を監督するために制定されています。注意が必要なのは、保険法とは異なる点です。
- 保険業法による募集行為
保険業法に基づく保険募集人の募集方法には、「代理」と「媒介」の二種類があります。- 代理
保険募集人が承諾すれば、その保険契約が成立する形態です。 - 媒介
保険募集人が保険契約を勧誘し、その契約の成立は保険会社の承諾を待つ形態です。
- 代理
保険業法に基づく禁止行為(保険業法300条)
保険業法では、以下のような行為が禁止されています。
- 重要事項の不告知:契約判断に影響を与える重要な事実を説明しない行為。
- 告知妨害:重要な事実の告知を妨げる行為。
- 不当な乗換行為:不利益な事実を伝えずに保険の乗換えを勧める行為。
- 特別な利益の提供:保険料の割引や割戻しを行う行為。
- 不当な比較表示:他の保険と比較して有利な点のみを強調し、誤解を招く表示行為。
- 不当表示:将来の不確実な事実を確実だと誤認させる行為。
- 保険会社の特定関係者による特別利益の提供。
- 契約者保護に欠ける行為:契約内容を本人以外に開示する行為。
- 虚偽告知:事実に反することを告げる行為。
クーリングオフ制度
契約者が申し込みを撤回できる制度です。契約者は、「契約の撤回に関する事項が記載された書面」を受け取った日、または「申込日」のいずれか遅い日から起算して、その日を含めて8日目までに書面で申し込みを撤回することができます。
ただし、医師の審査が終了した契約や法人契約などは、クーリングオフの対象外となります。
ソルベンシーマージン比率
保険会社が通常のリスクを超えたリスクに対して支払能力を有しているかを示す指標で、200% を下回ると金融庁から早期是正措置が取られることがあります。
保険契約者保護機構
保険契約者保護機構は、保険会社が破綻した場合に契約者を保護するための制度です。
機構は、破綻した保険会社の契約を引き継ぐことができ、受け皿となる保険会社に対して資金援助を行います。また、契約を引き継ぐ新たな会社を設立する場合もあります。
国内で営業する生命保険・損害保険会社は、国外に本社があっても保険契約者保護機構に加入することが義務付けられています。
これには銀行窓口やかんぽ生命で加入する保険も含まれます。
ただし、少額短期保険業者や共済はこの制度の対象外となります。
生命保険契約者保護機構の補償内容
すべての保険契約が対象となります(ただし、最低保証のない商品などは除外されます)。
原則として、破綻時の責任準備金の90%まで補償されます。ただし、高予定利率契約(利回りが高い契約)の場合、90%未満となることがあります。
※責任準備金とは、保険金や解約金とは異なり、将来の支払に備えて積み立てている保険料の一部です。
損害保険契約者保護機構の補償内容
主な保障内容
- 自賠責保険・家計地震保険:100%補償
- 自動車保険(任意保険)・火災保険・賠償責任保険等:保険金の80%(契約日から3か月以内は100%)、満期・解約時は80%の補償
少額短期保険業者
少額短期保険業者は、免許制ではなく登録制で運営される保険業者です。取り扱う生命保険商品は、少額・短期・掛け捨て型に限られ、保険金額は原則として1,000万円以内です。
保険法
保険法は、保険契約の基本的な契約ルールを定めており、契約者や被保険者に告知義務が課されています。重要な事実を故意または重大な過失で告知しない場合、告知義務違反となります。
告知義務違反
契約者および被保険者は、保険会社に対して自身の健康状態などを正確に告知する「質問応答義務」を負っています。故意や重大な過失によって、重要な事実を告知しなかった場合や、不実の告知を行った場合は、告知義務違反となります。
告知義務違反があった場合、保険者は原則として保険契約を解除することができます。ただし、解除権は以下の条件で消滅します。
- 保険者が解除の原因を知った日から1ヶ月以内に行使しない場合
- 契約締結から2年(保険法では5年)を経過した場合
また、保険募集人が契約者や被保険者の告知を妨げたり、不実の告知を勧めた場合、原則として保険会社は告知義務違反を理由に契約を解除することはできません。
練習問題
すべて〇または✕でお答えください。
問1
保険業法に基づく禁止行為には、契約者に対して不当な乗換行為や重要な事実の不告知が含まれる。
問2
クーリングオフ制度では、契約者は申込日から起算して8日目以内に書面で申し込みを撤回することができるが、医師の審査が終了した契約や法人契約などはクーリングオフの対象外となる。
問3
ソルベンシーマージン比率が200%未満になった場合、金融庁は保険会社に早期是正措置を取ることがある。
問4
告知義務違反があった場合、保険者は契約者がその事実を知ってから1年以内に解除権を行使する必要がある。
問5
生命保険契約者保護機構では、破綻した保険会社の責任準備金の90%までを補償するが、高予定利率契約の場合、補償額が90%未満となることがある。
【解答・解説】
問1 〇
保険業法では、契約者に対して不当な乗換行為や重要な事実の不告知が禁止されています。これらは保険業法で規定された「禁止行為」に該当します。
問2 〇
クーリングオフ制度では、契約者が申込日または契約書受領日から8日以内に申し込みを撤回できますが、医師の審査が終了した契約や法人契約は対象外となります。
問3 〇
ソルベンシーマージン比率が200%未満になった場合、金融庁は保険会社に早期是正措置を取ることがあります。これは保険会社が通常のリスクを超えたリスクに対して支払能力を示す指標だからです。
問4 ✕
告知義務違反があった場合、保険者は契約者がその事実を知ってから1ヶ月以内に解除権を行使しなければなりません。1年ではなく、1ヶ月以内です。
問5 〇
生命保険契約者保護機構では、破綻した保険会社の責任準備金の90%までを補償しますが、高予定利率契約の場合、その補償額が90%未満となることがあります。
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