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簿記

定期預金の仕訳をマスターしよう!元金継続型と元利継続型の違いとは?

2023年11月18日

定期預金の運用には、元金継続型と元利継続型という2つの方法があります。これらの方式は、利息の取り扱いや仕訳処理が異なり、正しい経理処理を理解することが重要です。

この記事では、それぞれの方式について詳しく解説し、具体的な仕訳例を交えて説明します。また、実務においてどのように仕訳を行うべきかを確認できる練習問題もご紹介します。

 

元金継続型とは?

元金継続型は、定期預金の満期時に利息部分を現金で受け取り、元金部分のみを次回の定期預金として更新する方式です。利息は現金で手に入りますが、元金はそのまま次回の定期預金に引き継がれます。

この方式では、利息部分が現金として支払われるため、次回の定期預金の金額は元金のみとなります。具体的には、税引後の利息を現金で受け取り、元金はそのまま次回の定期預金に繰り越されます。

 

元利継続型とは?

元利継続型は、定期預金の満期時に利息が元金に加算され、その合計額が次回の定期預金として自動的に更新される方式です。

この方式では、利息部分も元金に含まれて、次回の定期預金額として再投資されます。そのため、次回の定期預金の金額は元金と利息の合計額となります。具体的には、税引後の利息が元金に加算され、次回の定期預金額として更新されます。

 

元金継続型と元利継続型の違い

元金継続型と元利継続型の主な違いは、満期時における利息の取り扱いです。

  • 元金継続型では、利息は現金で受け取りますが、元金はそのまま更新されます。
  • 元利継続型では、利息は元金に加算され、その合計額が次回の定期預金として更新されます。

この違いにより、次回の定期預金額が異なります。元金継続型は利息を現金として受け取る一方、元利継続型は利息が元金に含まれて再投資されるため、再投資後の元本が増加します。

 

ポイント

元金継続型は、税引後の利息を現金で受け取り、元金はそのまま次回の定期預金に再投資される方式です。利息部分は現金として受け取られ、元金は変更されず、次回の定期預金にそのまま運用されます。

元利継続型は、税引後の利息を元金に加算して、次回の定期預金として更新される方式です。利息部分も元金に加算され、その合計額が次回の定期預金額として運用されます。

どちらの方式においても、源泉所得税が差し引かれた後の利息が重要となります。税引後の金額が、次回の定期預金に実際に反映される元金に影響を与えるため、税引後の利息金額を正確に把握することが重要です。

 

会計処理と税区分

源泉所得税は損金として計上し、会計処理上は「租税公課」として処理します。法人の場合、源泉所得税は「法人税等」や「仮払法人税」として処理されることもあります。

  • 法人の場合:預貯金の受取利息に対する源泉所得税等は、所得税および復興特別所得税として15.315%が課税されます。
  • 個人事業主の場合:預貯金の受取利息に対する源泉所得税等は、所得税および復興特別所得税15.315%に加え、住民税5%が課税され、合計で20.315%となります。

税区分において、受取利息は「非課税売上」となり、それ以外のものは「対象外」として扱われます。また、預金利息の計算では、1円未満の端数は切り捨てられます。

 

仕訳例

以下に「元金継続型」と「元利継続型」の仕訳例を示します。それぞれの仕訳方法の違いをご確認ください。

元金継続型

元金継続型(法人の場合)

当社は、1,000,000円の定期預金が満期を迎えました。税引前の利息は10,000円で、源泉所得税等は1,530円です。利息を現金で受け取り、元金はそのまま次回の定期預金として自動的に更新する(元金継続型)の処理を行いました。

法人が元金継続型で定期預金を更新した場合の仕訳は以下の通りです。

借方 金額 貸方 金額 摘要
定期預金 1,000,000 定期預金 1,000,000 満期更新
現金 8,470 受取利息 10,000 定期利息
租税公課 1,530 源泉所得税等

補足説明:

  • 定期預金: 元金部分はそのまま次回の定期預金として更新されるため、借方に1,000,000円を記入します。
  • 現金: 税引後の利息(10,000円 - 1,530円 = 8,470円)を現金として受け取るため、貸方に8,470円を記入します。
  • 租税公課: 源泉所得税等は1,530円で、法人税の支払いとして「租税公課」として損金計上します

 

元金継続型(個人事業主の場合)

個人事業主Aは、1,000,000円の定期預金が満期を迎えました。税引前の利息は10,000円で、源泉所得税等は2,031円です。利息を現金で受け取り、元金はそのまま次回の定期預金として自動的に更新する(元金継続型)の処理を行いました。

個人事業主が元金継続型で定期預金を更新した場合の仕訳は以下の通りです。

借方 金額 貸方 金額 摘要
定期預金 1,000,000 定期預金 1,000,000 満期更新
現金 7,969 受取利息 10,000 定期利息
租税公課 2,031 源泉所得税等

補足説明:

  • 定期預金: 元金部分はそのまま更新されるため、借方に1,000,000円を記入します。
  • 現金: 税引後の利息(10,000円 - 2,031円 = 7,969円)を現金として受け取るため、貸方に7,969円を記入します。
  • 租税公課: 源泉所得税等は2,031円で、個人事業主の支払いとして「租税公課」に計上します。

元利継続型

元利継続型(法人の場合)

当社は、1,000,000円の定期預金が満期を迎えました。税引前の利息は10,000円で、源泉所得税等は1,530円です。税引後の利息を元金に加えて自動的に更新する(元利継続型)の処理を行いました。

法人が元利継続型で定期預金を更新した場合の仕訳は以下の通りです。

借方 金額 貸方 金額 摘要
定期預金 1,008,470 定期預金 1,000,000 満期更新
受取利息 10,000 定期利息
租税公課 1,530 源泉所得税等

補足説明:

  • 定期預金: 元金(1,000,000円)に税引後の利息(10,000円 - 1,530円 = 8,470円)を加算して1,008,470円となります。これが新たな定期預金額として更新されるため、借方に1,008,470円を記入します。
  • 受取利息: 税引前の利息10,000円は、受け取る利息として計上します。
  • 租税公課: 源泉所得税等(1,530円)は、法人の支払いとして「租税公課」に計上します。

 

元利継続型(個人事業主の場合)

個人事業主Aは、1,000,000円の定期預金が満期を迎えました。税引前の利息は10,000円で、源泉所得税等は2,031円です。税引後の利息を元金に加えて自動的に更新する(元利継続型)の処理を行いました。

個人事業主が元利継続型で定期預金を更新した場合の仕訳は以下の通りです。

借方 金額 貸方 金額 摘要
定期預金 1,008,470 定期預金 1,000,000 満期更新
受取利息 10,000 定期利息
租税公課 2,031 源泉所得税等

補足説明:

  • 定期預金: 元金(1,000,000円)に税引後の利息(10,000円 - 2,031円 = 7,969円)を加算して1,008,470円となります。これが新たな定期預金額として更新されるため、借方に1,008,470円を記入します。
  • 受取利息: 税引前の利息10,000円は、受け取る利息として計上します。
  • 租税公課: 源泉所得税等(2,031円)は、個人事業主の支払いとして「租税公課」に計上します。

 

練習問題

問題1:元金継続型の場合(法人)

当社は、2,500,000円の定期預金が満期を迎えました。税引前の利息は25,000円で、源泉所得税等は3,825円です。利息を現金で受け取り、元金はそのまま次回の定期預金として自動的に更新する(元金継続型)の処理を行いました。この場合、適切な仕訳を記入してください。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額 摘要
定期預金 2,500,000 定期預金 2,500,000 満期更新
現金 21,175 受取利息 25,000 定期利息
租税公課 3,825 源泉所得税等

法人が元金継続型で定期預金を更新する場合、税引後の利息が現金で受け取られます。税引前の利息25,000円から源泉所得税(3,825円)を差し引いた後、税引後の利息は21,175円となり、現金で受け取ります。元金部分はそのまま次回の定期預金として更新されます。

 

問題2:元金継続型の場合(個人事業主)

個人事業主Bは、2,500,000円の定期預金が満期を迎えました。税引前の利息は25,000円で、源泉所得税等は4,382円です。利息を現金で受け取り、元金はそのまま次回の定期預金として自動的に更新する(元金継続型)の処理を行いました。この場合、適切な仕訳を記入してください。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額 摘要
定期預金 2,500,000 定期預金 2,500,000 満期更新
現金 20,618 受取利息 25,000 定期利息
租税公課 4,382 源泉所得税等

個人事業主が元金継続型で定期預金を更新する場合、利息部分が現金として受け取られます。税引前の利息25,000円から源泉所得税(4,382円)を差し引いた後、税引後の利息は20,618円となり、現金で受け取ります。元金部分はそのまま次回の定期預金として更新されます。

 

問題3:元利継続型の場合(法人)

当社は、2,500,000円の定期預金が満期を迎えました。税引前の利息は25,000円で、源泉所得税等は3,825円です。税引後の利息を元金に加えて自動的に更新する(元利継続型)の処理を行いました。この場合、適切な仕訳を記入してください。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額 摘要
定期預金 2,521,175 ※1 定期預金 2,500,000 満期更新
受取利息 25,000 定期利息
租税公課 3,825 源泉所得税等

※1 2,500,000円+(25,000円-3,825円)=2,521,175円

法人が元利継続型で定期預金を更新する際、税引後の利息が元金に加算されて次回の定期預金に更新されます。この場合、税引前の利息25,000円から源泉所得税(3,825円)を差し引いた後、元金2,500,000円に税引後の利息21,175円(25,000円 - 3,825円)が加算されて次回の定期預金額は2,521,175円となります。

 

問題4:元利継続型の場合(個人事業主)

個人事業主Bは、2,500,000円の定期預金が満期を迎えました。税引前の利息は25,000円で、源泉所得税等は4,382円です。税引後の利息を元金に加えて自動的に更新する(元利継続型)の処理を行いました。この場合、適切な仕訳を記入してください。

 

【解答・解説】

借方 金額 貸方 金額 摘要
定期預金 2,520,618 ※1 定期預金 2,500,000 満期更新
受取利息 25,000 定期利息
租税公課 4,382 源泉所得税等

※1 2,500,000円+(25,000円-4,382円)=2,521,175円

個人事業主が元利継続型で定期預金を更新する場合も同様に、税引後の利息が元金に加算されます。税引前の利息は25,000円で、源泉所得税(4,382円)を差し引いた後、税引後の利息は20,618円となり、元金2,500,000円にこの金額を加算した2,520,618円が次回の定期預金額となります。

 

まとめ

元金継続型と元利継続型の定期預金の主な違いは、満期時の利息の取り扱いです。元金継続型では利息を現金で受け取るのに対し、元利継続型では利息が元金に加算され、その合計額が次回の定期預金として運用されます。

これらの処理方法を理解し、適切に仕訳を行うことが重要です。税引後の利息をどう扱うかが、仕訳のポイントとなりますので、仕訳例を参考にしながらしっかりと理解しておきましょう。

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