この記事では、仕訳のルールとその書き方について詳しく解説した後、実際の取引に基づく具体的な仕訳例をご紹介します。
目次
仕訳の書き方
仕訳は必ず、借方(左側)と貸方(右側)に分けて書きます。まずは「仕訳は借方(左側)と貸方(右側)に分けて書く」という基本を知っておいてください。
借方と貸方に分けて帳簿に記入する理由は、すべての取引には必ず2つの面があるからです。帳簿に記入するグループとして、「資産、負債、純資産(資本)、収益、費用」があります。
「すべての取引には必ず2つの面がある」という意味は、「資産、負債、純資産(資本)、収益、費用」のいずれかが増減すると、必ずもう一つが増減するということです。
つまり、仕訳とは「資産、負債、純資産(資本)、収益、費用」の増減を借方と貸方で表現することです。
例えば、現金などが増加すると資産が増加します。現金が増加する理由には次のようなものがあります。
・現金を借り入れた場合(資産が増加、負債が増加)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 1,000 | 借入金 | 1,000 |
・現金による出資を受けた場合(資産が増加、純資産が増加)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 1,000 | 資本金 | 1,000 |
・現金売上の場合(資産が増加、収益が増加)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 1,000 | 売上 | 1,000 |
・現金仕入の場合(費用が増加、資産が減少)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕入 | 1,000 | 現金 | 1,000 |
このように、「資産、負債、純資産(資本)、収益、費用」のいずれかが増減すると、必ずもう一つが増減します。そして、これを見極めて帳簿に記入するのが簿記の基本です。
仕訳のルール
仕訳には次のようなルールがあります。これらの8つは「取引の8要素」と呼ばれます。
- 資産の増加は借方(左側)に記入する。
- 資産の減少は貸方(右側)に記入する。
- 負債の増加は貸方(右側)に記入する。
- 負債の減少は借方(左側)に記入する。
- 資本の増加は貸方(右側)に記入する。
- 資本の減少は借方(左側)に記入する。
- 費用の発生は借方(左側)に記入する。
- 収益の発生は貸方(右側)に記入する。
「取引の8要素」のほかにも、下記のケースがあります。
・費用の減少は貸方(右側)に記入する
・収益の減少は借方(左側)に記入する
これらの2つは「取引の8要素」には含まれていませんが、覚えておくと役立ちます。借方が左側、貸方が右側という基本も覚えておく必要があります。
資産、費用の増加は借方、負債、純資産(資本)及び収益の増加は貸方に書く。
資産、費用の減少は貸方、負債、純資産(資本)及び収益の減少は借方に書く。