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消費税法

事業年度を10年に設定した場合、消費税はどうなる?10年間免税事業者でいられるかどうか解説

2025年1月6日

会社の決算には「事業年度」と呼ばれる期間があります。この「事業年度」は会社が自由に決めることができるので、1年だけでなく、半年や10か月の期間に設定することもできます。

仮に、法人設立時に定款で事業年度を10年間と定めた場合、その期間における消費税の課税はどのように取り扱われるのでしょうか?

 

消費税の課税期間とは?

消費税の期間について、個人事業主(お店やフリーランスの人)と法人(会社)では、次のように決められています。

  • 個人事業主:1月1日から12月31日までの1年間。
  • 法人(会社):会社が決めた「事業年度」と呼ばれる期間。

また、消費税課税期間特例選択・変更届出書を提出すれば、会社の課税期間を3か月ごとや1か月ごとに短くすることもできます。

 

会社を作った最初の年の納税義務

新しく会社を作った最初の年(設立第1期)は、特別なルールがあります。この最初の年には「基準期間」や「特定期間」がないため、基本的に新しく作った会社は消費税を払わなくて済むことが多いです。ただし、新設法人(期首資本金額が1,000万円以上の法人)などに該当する場合は、消費税を払う必要が出てきます。

 

事業年度を10年にした場合

Q: 会社の事業年度を10年にして、最初の年(設立第1期)が消費税を免除される場合、その後もずっと10年間免税事業者でいられるのでしょうか?

A: 免税事業者でいられません。なぜなら、会社の事業年度を10年に設定した場合であっても、1年ごとに納税義務の判定を行う必要があるため、2年目以降は特定期間が存在し、3年目以降は基準期間が存在するからです。消費税法では、「事業年度」という期間を法人税法の規定に基づいて決めることになっています。

事業年度

法人税法第十三条及び第十四条(事業年度)に規定する事業年度(国、地方公共団体その他これらの条の規定の適用を受けない法人については、政令で定める一定の期間)をいう。

消費税法第2条第1項第13号

 

法人税法の規定

法人税法では、「事業年度」を「会社の財産や利益を計算するための期間」と定めています。この期間は、会社の定款(会社のルール)や、決まりごとで決めることができます。ただし、もしその期間が1年以上だと、1年ごとの期間に課税期間が区切られます。

事業年度を10年間にしたとしても、法人税法の規定により、その10年間が1年ごとに区切られ、1年ごとに消費税を払う義務があるかどうかを決めることになります。

この法律において「事業年度」とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(以下この章において「会計期間」という。)で、法令で定めるもの又は法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下この章において「定款等」という。)に定めるものをいい、法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には、次項の規定により納税地の所轄税務署長に届け出た会計期間又は第三項の規定により納税地の所轄税務署長が指定した会計期間若しくは第四項に規定する期間をいう。ただし、これらの期間が一年を超える場合は、当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)をいう。

法人税法第13条第1項

 

まとめ

事業年度を10年に設定した場合でも、1年ごとに納税義務の判定を行う必要があるため、2年目以降には特定期間が存在し、3年目以降には基準期間が存在します。そのため、設立1期目が免税事業者に該当したことを根拠に、10年間免税事業者でいることはできません。

もし消費税法における事業年度をとても長く設定できるのであれば、税金を支払わずに済む期間が長くなる可能性があります。しかし、それでは税金を長期間回避することができてしまうため、租税回避を防止する規定が設けられています。納税の公平性を保つために必要な規定であると言えます。

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