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消費税法

貸倒れの事実とは?消費税控除を受けるための要件を詳しく解説!

2025年2月5日

消費税法では、商品を販売した際、代金を受け取るタイミングではなく、商品を引き渡した時点で売上として計上することが規定されています。つまり、代金をまだ受け取っていなくても、商品に関連する消費税は売上として申告する必要があります。

しかし、取引先が倒産するなどの理由で、売上代金が回収できない場合もあります。このような状況は「貸倒れ」と呼ばれます。

貸倒れが発生した場合、消費税額の控除を適用するための条件や手続きについて理解することが重要です。

本記事では、「貸倒れとは?」をテーマに、消費税額の控除を適用するために必要な知識を詳しく解説します。

 

貸倒れに係る消費税の控除

消費税法では、売掛金が回収できない場合、その売掛金に係る消費税を控除できると定めています。これを「貸倒れに係る消費税額の控除」といいます。

具体的には、売掛金が回収できないことが確定した場合、その消費税額を申告時に控除することができます。

消費税法第39条には、この控除に関する詳細な規定があります。

(貸倒れに係る消費税額の控除等)
第三十九条 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が国内において課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。)を行つた場合において、当該課税資産の譲渡等の相手方に対する売掛金その他の債権につき更生計画認可の決定により債権の切捨てがあつたことその他これに準ずるものとして政令で定める事実が生じたため、当該課税資産の譲渡等の税込価額の全部又は一部の領収をすることができなくなつたときは、当該領収をすることができないこととなつた日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該領収をすることができなくなつた課税資産の譲渡等の税込価額に係る消費税額(当該税込価額に百十分の七・八(当該税込価額が軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、百八分の六・二四)を乗じて算出した金額をいう。第三項において同じ。)の合計額を控除する。

引用:消費税法第39条第1項

 

貸倒れの事実とは

「貸倒れに係る消費税額の控除」を受けるためには、「貸倒れの事実」が発生している必要があります。

会計上「貸倒損失」を計上していても、「貸倒れに係る消費税額の控除」の規定は、「貸倒れの事実」が発生していない限り、適用されません。

消費税の計算において「貸倒れに係る消費税額の控除」を適用するかどうかの判断は、法人税における貸倒損失を損金の額として計上できるかどうかと同じ基準で行われます。

「貸倒れの事実」とは、具体的には以下のような事実を指します。

 

法律上の貸倒れ

「法律上の貸倒れ」に該当するケースは、以下の通りです。

  1. 更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定があった場合
  2. 特別清算に係る協定の認可の決定があった場合
  3. 事業再構築のための計画が成立したことにより債権の切捨てが行われた場合
  4. 書面により債務免除をした場合

事実上の貸倒れ

債務者の資産状況や支払能力などから、売掛金の全額を回収できないことが明らかになった場合、「事実上の貸倒れ」に該当し、その際に「貸倒れに係る消費税額の控除」を適用することができます。

例えば、債務者が夜逃げしたり行方不明になった場合など、全額の回収が不可能な状況に陥った際が「事実上の貸倒れ」に該当します。ただし、形式的な判断基準はなく、各事案において債務者や債権者の状況を総合的に考慮して判断する必要があります。

 

形式上の貸倒れ

次のような場合も「形式上の貸倒れ」として認められ、消費税の控除を受けることができます。

  1. 継続的な取引を行っていた債務者の資産状況や支払能力が悪化したため、その債務者との取引を停止した場合において、その取引停止の時または最後の弁済の時のうち最も遅い時以後1年以上経過したとき
    取引先の支払能力が悪化して取引を停止し、その後1年以上経過した場合、形式的に回収できないと見なされます。
    例えば、何度連絡しても無視され、最後に連絡がついた時から1年以上経った場合などです。
  2. 法人が同一地域の債務者に対して有する売掛債権の総額が、取立費用(取立てにかかる旅費やその他の費用)を下回る場合で、支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき
    売掛金の額が少なくて、取立てにかかる費用が売掛金を上回る場合も「形式上の貸倒れ」として認められます。
    例えば、遠方の取引先に対する売掛金が少なく、その回収のための移動費用が高いため、回収することが現実的でない場合です。

 まとめ

消費税法では、商品が引き渡された時点で売上として消費税を申告しなければならず、代金が未回収でも消費税が課されます。しかし、取引先が倒産するなどの理由で回収できない場合、「貸倒れ」としてその売掛金に係る消費税を控除することができます。

この控除を適用するためには、「貸倒れの事実」が発生していることが条件です。具体的には、法律上の貸倒れや事実上の貸倒れ、さらには形式上の貸倒れに該当する場合に控除が認められます。

適切な手続きを踏むことで、消費税額の控除が可能となります。

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