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一括償却資産とは?制度の概要・判定基準・仕訳方法を解説

2026年1月25日

一括償却資産は、10万円以上20万円未満の減価償却資産について、法定耐用年数に関わらず3年間で均等償却できる便利な税務制度です。

「償却資産税がかからない」「月割計算が不要」といった実務上のメリットが非常に大きく、多くの中小企業や個人事業主で活用されています。

本記事では、制度の概要から具体的な仕訳方法まで、実務目線で分かりやすく解説します。

 

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一括償却資産とは?(制度の概要)

通常、10万円以上の資産を取得した場合は、その資産ごとに決められた「法定耐用年数」に応じて数年にわたり減価償却を行います。

しかし、10万円以上20万円未満の資産に限っては、「取得した年度ごとにひとまとめにして、3年均等で経費にする」という簡便なルールを選択できます。

【根拠法令】法人税法施行令第133条の2第1項

※資本金1億円以下の中小企業等の場合は「30万円未満の少額減価償却資産の特例」との選択適用になります。

一括償却資産の4つの大きな特徴

  • 個別管理が不要:資産ごとに管理せず、その年度に買った対象資産を「総額」で管理します。
  • 月割計算をしない:期末ギリギリに購入しても、1年分(3分の1)をフルで償却できます。
  • 除却・売却時の処理が不要:途中で捨てたり売ったりしても、3年間の償却スケジュールは変えずにそのまま継続します。
  • 償却資産税が「非課税」:固定資産税(償却資産税)の申告対象から外れるため、節税効果があります。

判定基準と消費税の扱い

「10万円以上20万円未満」の判定は、会社が採用している会計処理(税込・税抜)によって異なります。

経理方式 判定金額
税込経理方式 税込価格で判定(例:198,000円なら対象内)
税抜経理方式 税抜価格で判定(例:税込209,000円でも税抜190,000円なら対象内)

 

選べる2つの記帳方法(具体例)

一括償却資産の処理には「決算調整方式」「申告調整方式」の2種類があります。

一括償却資産の最大の特徴は、「いつ買ったかに関わらず、その年度に取得した分をすべて合算して3分の1ずつ償却する」という点にあります。

以下の例をもとに、「決算調整方式」と「申告調整方式」の記帳方法を解説します。

 

決算調整方式

資産を購入した都度「一括償却資産」として計上し、決算でまとめて3分の1を費用化します。

帳簿と税務申告が一致するため、管理がシンプルです。

 

例題

① 購入時の仕訳(都度計上)

当期の8月1日に15万円のパソコンを購入した。

仕訳

借方 金額 貸方 金額
一括償却資産 150,000 現金 150,000

 

② 購入時の仕訳(都度計上)

当期の11月5日に12万円のデスクを現金で購入した。

仕訳

借方 金額 貸方 金額
一括償却資産 120,000 現金 120,000


③ 決算時の仕訳(一括償却)

期中に取得した合計額(15万円 + 12万円=27万円)の3分の1を減価償却費とします。

月割計算は不要なため、期中に買ったデスクも「1年分(3分の1)」をフルで償却できます。

仕訳

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 90,000 一括償却資産 90,000

※算出根拠:(150,000 + 120,000) ÷ 3 = 90,000円

 

申告調整方式

購入時に「消耗品費」などで全額を費用処理し、税務申告書(別表四)の上で、税法上の限度額(3分の1)を超える分を差し戻す(加算する)方法です。

事務処理を簡略化したい場合などに利用されます。

 

例題

① 購入時の仕訳(都度計上)

当期の8月1日に15万円のパソコンを購入した。

仕訳

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 150,000 現金 150,000

※会計帳簿上は、この時点で全額が費用として計上されます。

 

② 購入時の仕訳(都度計上)

当期の11月5日に12万円のデスクを現金で購入した。

仕訳

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 120,000 現金 120,000

※会計帳簿上は、この時点で全額が費用として計上されます。

 

③ 決算時の仕訳

仕訳なし

※決算整理は不要です

 

④ 税務申告時の調整(別表四)

会計上の費用(27万円)のうち、税務上で当期の経費にできるのは3分の1(9万円)までです。そのため、残りの3分の2を税務申告書で調整します。

  • 当期:180,000円(27万円 × 2/3)を「加算・留保」として調整
  • 翌期・翌々期:90,000円(27万円 × 1/3)ずつ「減算・認容」として調整

実務のポイント

一括償却資産は「個別の資産ごと」ではなく「年度ごとのグループ」で管理します。

そのため、会計ソフトの固定資産台帳に登録する際も、一つずつ登録するのではなく「令和〇年度 一括償却資産」という名称で合計額(例題では27万円)を一行で登録し、3年償却を設定するのが最も効率的でミスが少ない方法です。

 

まとめ

一括償却資産は、「月割計算なし・償却資産税なし」という事務負担の軽さが最大の魅力です。

  • 管理を楽にしたい:決算調整方式を選択。
  • 節税を優先したい:30万円未満まで一括で落とせる「少額減価償却資産の特例」と比較検討(※こちらは償却資産税がかかる点に注意)。

自社の利益状況や、償却資産税の負担額を考慮して、最適な方法を選択しましょう。

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